2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530537
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森川 恭剛 琉球大学, 法文学部, 教授 (20274417)
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Keywords | ハンセン病 / 差別問題 |
Research Abstract |
本年度はハンセン病療養所沖縄愛楽園の社会化について以下のことを実施した。 (1)沖縄愛楽園「社会交流会館」構想を推進するために、同園自治会のもとに学識経験者や行政担当者を含む外部委員を人選して同企画運営委員会の設置準備を進めた。しかし諸般の事情により委員委嘱には至らず、次年度への継続課題となった。 (2)園内ガイド養成セミナーと園内ガイドの実践については、市民団体(ハンセン病問題ネットワーク沖縄)と連携して沖縄愛楽園内で平成23年1月~3月にかけて3回にわたりガイド養成セミナーを開催した。また同園自治会が外来者からの申し込みを受け付けて随時行われている園内ガイドについて参与観察をして、当事者と非当事者による園内ガイドの違いに留意しながら、非当事者による差別被害経験の継承方法について検討した。 (3)ハンセン病とキリスト教に関する文献調査については、近代日本のハンセン病隔離政策導入期にヨーロッパ中世のハンセン病がどのように理解され、隔離政策が支持されるに至ったかを明らかにする、という観点から検討した。その成果を「ヨーロッパ中世のハンセン病と近代日本の隔離政策」と題して下記の図書に収録した。ヨーロッパ中世史の近年の研究によると、キリスト教による病者救済を目的として開始されたハンセン病患者の施設隔離が感染予防を目的とする差別的なものへと変容すると説かれている。この点について近代日本の隔離政策導入期には、患者救済目的の患者隔離が同時にハンセン病感染予防の効果をあげえた先行事例として理解されており、近代隔離政策も同趣旨のものであるとして導入が図られた。現在の日本でもヨーロッパ中世のハンセン病に関する誤解は訂正されておらず、そのため近代日本の隔離政策に対する反省(患者隔離が差別行為であることの反省)が妨げられていることが指摘された。
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Research Products
(1 results)