2009 Fiscal Year Annual Research Report
都市における中間層の変容過程と社会調査:格差社会分析の国際比較のための実証研究
Project/Area Number |
21530557
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
武田 尚子 Musashi University, 社会学部, 教授 (30339527)
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Keywords | サービス労働 / 貧困層 / 女性 / 非安定雇用層 / 温泉地 / イギリス / B.S.ロウントリー / 産業心理学調査 |
Research Abstract |
本年度は、次の3点について調査・研究を進めた。1.地域社会における実証的研究、2.過去の社会調査方法の再評価を切り口とした「中間層」概念の再検討、3.「中間層」概念の形成・変容をめぐる国際比較である。 1については、『温泉リゾート・スタディーズ-箱根・熱海の癒し空間とサービス・ワーク』(2010年、青弓社、共著)を出版した。温泉地における女性のサービス労働に焦点をあて、温泉地における労働市場の形成を歴史社会学的に解明した。そこで明らかになったことは、温泉地は大都市と同じように、貧困層が集積しており、ツーリストが楽しむ温泉地の表側と、非安定雇用層の集積である裏側の2面性を内包しており、まさに格差社会の縮図であるということである。温泉地の形成・変容の過程を通して、都市的な中間層と貧困層が分化していく契機を明らかにした。 2と3については、イギリスにおけるベンジャミン・シーボーム・ロウントリー(Benjamin Seebohm Rowntree, 1871-1954)の社会調査と社会実践の関連について解明を試み、本課題研究の中間報告書を作成した(『イギリス近代都市史:ヨークのスイーツ産業-B.S.ロウントリーの社会調査と社会実践」『都市における中間層の変容過程と社会調査:格差社会分析の国際比較のための実証研究』平成21年度中間報告書、A4版総頁107ページ)。B.S.ロウントリーが実施した社会調査は、貧困調査にとどまらず、産業心理学調査、経営学調査など多岐にわたる。その社会調査の全容と意義については、充分に明らかにされているとは言い難い。本年度はロウントリーの産業心理学的調査に焦点をあて、実施した社会的背景を探り、その意義を明らかにし、中間報告書に記述した。
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Research Products
(8 results)