2009 Fiscal Year Annual Research Report
消費空間を中心とする消費化・情報化時代の「都市の論理」の社会学的研究
Project/Area Number |
21530566
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若林 幹夫 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 教授 (40230916)
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Keywords | 社会学 / 消費社会 / 都市 / 郊外 / 情報化 / 文化 |
Research Abstract |
本年度の研究は、1990年代以降の消費化・情報化の展開が、都市空間の社会的生産とそこでの社会的行為の編成にどのような新たな局面を開いたのかを、主としてショッピングセンターについての文献調査とフィールドワークを通じて分析することを試みた。 文献調査では、1990年代以降の消費空間の生産に関する内外の研究書、国内のマーケティング関係の文献、そして日本ショッピングセンター協会発行の白書、雑誌、統計を収集した。その詳細な分析は次年度以降に行うが、近年のショッピングセンターの展開が日本のみならず先進資本主義諸国や新興国に共通するものであり、そこで生み出されている空間のあり方、消費空間の演出の方法、テナント資本などに、グローバルに共通するものが多いこと、90年代以降の日本におけるこうした商業空間の増加は、消費社会化や情報化だけでなく、日米構造協議に端を発したグローバル化の波や、90年代以降の郊外生活文化の展開といった視点から理解するべきことが明らかになった。 フィールドワークでは、東京首都圏のつくばエクスプレス沿線、常磐線沿線、武蔵野線沿線、東武東上線沿線、横浜・川崎地区で調査を行うと共に、日本ショッピングセンター協会大会での資料収集も行った。これらの調査を通じて、現代のショッピングセンターがまちづくりとの連携を標榜しつつ、しばしば周囲の空間から切断された「裏返しの街」のような空間を構成していることが多いこと、しかしながらそれは、地域と住民とが強く結びつかず、自動車交通への依存度や日常的な移動性の高い郊外生活者の生活様式に対応しているものであること、ショッピングセンターの内部がブランド的な記号のみならず、顧客と店員との「コミュニケーション」によって意味づけられる空間たろうとしていることなどが、明らかになった。
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