2009 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の地域移行支援におけるソーシャルワーク実践に関する統合的実証研究
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21530593
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
清水 由香 (丸山 由香) Osaka City University, 大学院・生活科学研究科, 助教 (90336793)
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Keywords | 精神障害者 / ソーシャルワーク / 障害者福祉 / 地域移行 / 評価 |
Research Abstract |
わが国の精神障害者保健福祉における地域移行支援のソーシャルワーク実践の評価は実践促進のうえで喫緊の課題である。それを明らかにするために、平成21年度は、(1) 地域移行支援にかかわる文献研究;(2)退院支援におけるアセスメント視点;1事例病院における精神科ソーシャルワーカー、看護師らを対象に退院阻害要因・促進要因をアセスメントする視点についてグループインタビューによる情報収集と分析。(3)ソーシャルワーク実践の評価にかかわる当事者によるリカバリー評価尺度の検証、以上の3つの柱で研究した。 (1) 退院困難度尺度や、退院阻害要因・促進要因、退院支援の標準化や支援パスの開発に関する研究など退院支援に関わる研究は増加してきているが、長期入院患者の退院支援に関するソーシャルワーク実践の研究は極めて少ない。本人の病状よりも家族要因の影響を受けやすく、環境調整役割としてソーシャルワーカーの支援の重要性が示唆された。また病内における当事者主体のリカバリー志向を機軸にした実践推進と評価が今後のソーシャルワークの課題である。(2) 退院阻害要因には、病状の不安定さや反社会的行動、そして家族の反対、本人の退院への意欲のなさが主なものとして認識されていた。一方、促進要因はストレングス視点によるアセスメント、地域生活のイメージ化の重要性が抽出された。(3) すでに精神障害者リカバリー・アセスメント・尺度(RASと略す)(Corrigan et al., 1999, 2004)が開発され、千葉らが日本語版の信頼性妥当性の検証を行っている。カンザス大学と共同で、日米の比較研究を計画し、新たに日本語版を作成し、保健福祉センター・グループワーク利用者らを対象に自記式調査を行った(214通回収)。RASの24項目の探索的因子分析の結果、先行研究とはかなり異なる構造となり、今後、さらに対象者を増やして分析を継続してくこととした。
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