2010 Fiscal Year Annual Research Report
精神障害者の地域移行支援におけるソーシャルワーク実践に関する統合的実証研究
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21530593
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
清水 由香 (丸山 由香) 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助教 (90336793)
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Keywords | 精神障害者 / ソーシャルワーク / 障害者福祉 / 地域移行 / 精神科ソーシャルワーカー |
Research Abstract |
研究は主に2つの柱よりなる。(1)精神科ソーシャルワーカー(以下PSW)による退院支援実践状況及び実践に影響を与える要因の検討(質問紙調査)、および2名のPSWに退院支援アセスメント・ツール作成の資料としてのパイロット・インタビュー調査を実施した。(2)H21年度実施の精神障害者リカバリー尺度に関する研究の継続として、日米との国際比較調査研究の分析により、概念構造がほぼ同じであることが確認された。以下、(1)の調査を主に報告する。【質問紙調査の対象と方法】全国を対象に単科精神科病院、及び一般病院で精神病床が半数以上の病院(計1265箇所)に勤務するPSWを調査対象に自記式郵送調査を実施し、有効回答数488名(38.6%)を得た。本研究では退院支援実践を「ケース発見、アセスメント、計画の立案、退院計画実施、モニタリング、評価」から成る6領域46項目を設定し、業務遂行自信度の自己評価を実践としてとらえた。実践の構造の把握のために因子分析(主因子法)を行い、その分析で抽出された各因子の合計素得点を従属変数とした。さらに実践の関連要因(「病院の退院支援取り組み体制」「PSWの退院支援取り組み体制」)を検討した。【研究結果・考察】因子分析の結果「第1因子:患者の望む生活の具体化」「第2因子:退院支援内容の評価」「第3因子:ニーズに合致したサービス提供のための資源活用・連携」「第4因子:退院後のサービス利用状況の評価」「第5因子:利用可能な資源の患者との共有化」「第6因子:退院可能性の把握」に分かれた(各因子の信頼性係数0.7以上)。またt検定の結果「地域移行担当部署が有り」「地域連携活動実施が有り」「標準化された退院支援の手続きが有り」「PSW間の事例検討や勉強会実施が有り」の方が第1~5因子の得点が有意に高かった。このことからPSWの退院支援実践の質の向上にむけて病院内及びPSWの退院支援への取り組み体制の整備の必要性が示唆された。また、インタビュー調査では、利用者との関係構築が地域移行支援のアセスメントに重要であることが確認された。
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