2011 Fiscal Year Annual Research Report
介護における腰痛対策の実態と腰痛予防教育プログラムに関する研究
Project/Area Number |
21530608
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上之園 佳子 日本大学, 文理学部, 教授 (00310433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 由紀子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (60299873)
|
Keywords | 介護従事者 / 腰痛予防対策 / 介護労働衛生 / 介護福祉機器 / 介護福祉教育教材 / 腰痛予防対策教育プログラム / イギリス・韓国 / 介護の職業上の健康 |
Research Abstract |
本年度は、国内における介護従事者の腰痛予防対策に関する実態調査(質問紙調査)ならびに介護福祉士養成校・大学等での介護福祉教育における実態調査(聞取り調査)に重点を置いて研究を行った。 介護従事者を対象とした質問紙調査では、先行調査を踏まえ質問項目の検討を行い、質問紙調査票を作成しプレテストを行った。それを踏まえ本調査では、健康状態及び腰痛発生状況、腰痛予防対策の実態、介護機器の整備・利用状況、介護機器に関する教育の有無等について調査を実施した。調査対象は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、身体障害者療護施設(計16施設)で働く介護従事者であり、534票を配布し450票を回収した。 介護福祉士養成課程のある大学等の教育担当者を対象に聞取り調査のプレインタビューを実施し、それを踏まえてインタビュー調査項目の半構造化の検討を行った。その結果、健康管理・腰痛予防教育の内容、介護福祉機器の整備・活用状況とその教育について、また教員自身の健康と介護機器についての意識等について調査する必要性が浮上した。 また、長野県の介護従事者を対象にファーストステップ研修(長野県介護福祉士会主催)にて「介護従事者の健康・ストレス管理」講義を実施し、さらに介護保険施設での腰痛予防対策の実態視察と来年度のモデル研修の共同研究へと発展させることができた。 さらに、海外の労働環境、腰痛防止対策に関する聞き取り調査では、デンマークでの高齢者ケアにおけるケア人材の腰痛予防対策と教育、また介護機器について視察及びインタビュー調査を行った。ケア人材の教育課程では、Sundhedfremmende og for ebyggende aktivteter健康管理と予防対策とArbejdsmiljoの労働環境に関する教育が重要視されていた。また、高齢者住宅では複数でケアする充分な居住空間と天井走行式リフトなどが常設整備されていた。ケアスタッフが安全に健康に働くことが権利として社会に認められ制度がつくられていることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の東日本震災により、研究代表者である上之園が社会福祉系学会連合の震災対応委員としての活動に時間を割かれたため、全体の進行がやや遅れている状況である。介護従事者に対するアンケート調査の実施については、研究倫理委員会の審議に関する手続きに時間を要したことも影響した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、昨年度に実施した介護従事者の腰痛実態と腰痛予防アンケート調査の分析・結果の取りまとめを早急に行なう。その推進方策として社会調査士等からの調査分析の助言を得ることで、より高い調査結果の成果を出す。そして、介護従事者と介護関連の研究者、福祉現場職員などの研究協力者でのディスカッションを通じて、今後の健康教育の教育プログラムに必要な項目を抽出するとともに、教育効果を高めるための分析を行う。また、介護福祉士養成の教育担当者に対する、健康教育と介護機器に関する介護福祉教育の現状等についてインタビュー調査を実施し、理論と実践をめぐる課題の分析を行う。 さらに、介護従事者の腰痛予防教育プログラムに関しては、腰痛予防対策に先進的に取り組んでいる施設との共同研究により、調査研究結果をも反映させて労働衛生に関する従事者の理解及び腰痛予防対策の促進に向けた「介護従事者の教育プログラム(たたき台)」を作成する。その教育プログラムに沿った研修を試行し、プログラムの開発段階へ進める。
|
Research Products
(2 results)