2012 Fiscal Year Annual Research Report
介護における腰痛対策の実態と腰痛予防教育プログラムに関する研究
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21530608
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上之園 佳子 日本大学, 文理学部, 教授 (00310433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 由紀子 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (60299873)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腰痛予防対策 / 介護従事者 / 介護福祉器具 / 介護福祉教育 / 腰痛予防教育プログラム / 海外の介護人材養成 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、調査研究結果(①介護従事者の腰痛予防と教育に関する実態調査、②介護福祉教育における実態調査、③デンマークでのケア人材養成における腰痛予防と教育、介護機器活用の視察・聞取り調査)、を分析、考察した調査研究成果を「2012年度研究報告書」として発行することであった。 第1の質問紙調査(有効回答数495)結果では、介護従事者の腰痛発生率の高さと予防対策の必要性が示されたが、腰痛予防が個人的な対応(セルフケア)に偏り、職場での取り組みを推進することの課題が明らかとなった。腰痛予防の知識・技術の習得は職場が中心であり、職場におけるOJTの有効性を示すとともに、基礎教育(養成課程と訪問介護員養成研修)での充実の必要性を示した。介護福祉器具の活用では、リフトの普及率は低く、活用しない理由を踏まえ、教育をする重要性も示された。 第2の介護福祉士養成課程の担当教育員(11校)の聞取り調査では、養成校では教員はテキスト内容の不足のため、補足資料により授業を行っていた。そのため、教授内容は教員ごとに個別的であり、統一性に欠けることが推定された。また、労働安全衛生等の法律的内容が十分でないことや、介護福祉器具の活用方法や普及の観点が示された。 第3のデンマーク視察調査で、ケア人材養成では健康管理と労働環境に関する教育が重要視されていた。高齢者住宅では複数でケアする充分な居住空間と天井走行式リフトなどが常設整備されていた。 さらに、長野県の高齢者施設でのトランスファープロジェクト(腰痛予防のための移乗方法研究会)との共同で介護福祉機器の普及教育や労働環境改善の実践に関する意見交換を行なった。年度末での「職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会」厚生労働省を傍聴し、介護・看護等の業務に関する腰痛予防の最新の知見や情報を得ることができ、教育プログランの方向性の示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの実態調査結果の分析等とそれらの調査成果をまとめた「2012年度研究報告書」の作成に時間を要したため、教育プログラムの進行がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、これまで介護従事者の腰痛予防とその教育に関する法令、先行文献研究等の基礎研究をまとめた「2010年度研究報告書」と平成24年度にまとめた「2012年度研究報告書」での実態調査結果の分析・考察から得られた結果を基にして、2013(平成25)年度は、「介護従事者の腰痛予防教育プログラム」の作成を中心として介護福祉教育での腰痛予防のあり方を研究していく。 具体的には、介護従事者の健康確保のための教育項目と内容を介護教育現場の教員のインタビュ調査結果と腰痛予防とその教育のアンケート調査結果から抽出作業を行う。その方法として、調査結果から得られた介護従事者の健康に関する教育で、必要と思われる教育内容を分析して教育項目を抽出する。そこでの教育項目を介護福祉教育テキストや調査結果の「介護従事者の健康管理」に関する項目をマインドマップ方式で分析して、教育内容の傾向と課題を分析する。 また、「職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討」での腰痛予防に関する議論や改訂版指針での労働安全衛生教育としての腰痛予防教育を参照して研究を進めていく。さらに、「OSHA Guidelines for nursing Homes 」での移乗方法や介護福祉器具の活用アセスメント等のフローチャート方式を活用し、海外の腰痛予防に関する情報やテキストなども参照として新しい腰痛予防教育プログラムを企画、設計する。 これらの腰痛予防教育研究と並行して、腰痛予防対策に先進的に取り組んでいる施設との共同研究により、職場での具体的な取組のケーススタディをも反映させて労働衛生に関する従事者の理解及び腰痛予防対策の促進に向けた「介護従事者の腰痛予防教育プログラム」を作成する。
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Research Products
(2 results)