2010 Fiscal Year Annual Research Report
親と暮らしていた脳性麻痺者のひとり暮らしとしての自立生活実現過程に関する研究
Project/Area Number |
21530630
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
安田 美予子 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (40340913)
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Keywords | 自立生活支援 / 脳性麻痺者 / ソーシャルワーク / 個別化 / ストレングス・モデル / パーソン・センタード / 質的研究 / エスノグラフィ |
Research Abstract |
平成22年度は,調査対象である脳性麻痺者Aさんの自立生活実現に向けての職員の支援に関して,論文を2本完成させた(平成23年度中に発刊予定).ひとつは昨年度からの継続のもので,Aさんの一過程で見られたセルフマネジメント型によるひとり暮らし実現支援の実態とその問題点を明らかにした.セルフマネジメント型という支援方法は,他のひとり暮らし希望者との比較のなかで浮上し,Aさんの個別性に注目したソーシャルワークのアセスメント・支援計画立案に基づくものではなかったことを示し,Aさんのストレングスや限界を丁寧にアセスメントした支援計画の立案の必要性を考察した.もうひとつは,自立生活理念や自立生活を実践しようとする障害者が,支援者を変容させる様子を,Aさんの事例をもとに描いた.欠陥志向のソーシャルワークや支援者中心思考からAさんを評価していた支援者が,自立生活理念や本人主体という理念に出逢い,支援者としての役割や自分の態度にジレンマを感じながらも,Aさんとの関わりを通じてジレンマを脱し,パーソン・センタード,障害者「本人中心」という価値観を養った経験を記述しその意義を考察した. また,アメリカの質的研究の国際学会で,Aさんの自立生活実現の最初の過程である介助者の家庭派遣をめぐって起こった親との葛藤・権力関係に関する研究成果を報告した.障害者が親から自立/自律する過程で経験する親との葛藤や権力・抑圧関係は,国境を越えて普遍的であることが確認できた.また.報告後の質疑応答の中で,自立生活の概念定義が,国によって異なることもわかり,本研究の今後の方向性に関して示唆を得た.
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Research Products
(1 results)