2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530674
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
川野 健治 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・自殺予防対策支援研究室・自殺予防総合対策センター, 自殺予防対策支援研究室長 (20288046)
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Keywords | 若年層 / 自殺 / 態度 / 教育 |
Research Abstract |
前年度実施したアンケート調査および聞き取り調査により学校教育現場の状況を把握し、また各領域の専門家の意見も求めながら子どもたちの発達を考慮したうえで、自殺予防プログラムGRIP(Gradual approach段階的アプローチ,challenge and Resihence挑戦と回復,In a school setting学校での実施,Prepare scaffolding学習の足場をつくる:以下、GRIP)を開発した。自殺予防の効果が期待される世代として、小学生よりも死・自殺の意味がわかり、高校生よりも地域や学校の大人たちとのつながりの強い中学生に注目した。GRIPは、生徒向けプログラムと教員用プログラムから成り、これらを学校現場で担当者が独自に実施できるように詳細な説明用資料を添付している。 生徒向けプログラムは自傷・自殺に限らず多様な問題に対応するための基本的な力を育てることを狙い、発達段階に応じて実施できるよう認知行動療法や対人コミュニケーション研究を理論的背景とした多段階目標を設定している。他方、教員用プログラムは、相談対応における留意点を効率よく学習できるように整理されている。GRIPの狙いは、子ども達の「挑戦と回復」の力を基礎に、より深刻な(自傷・自殺の危険性を含む)状況では大人への援助希求ができるようになることであり、並行して、教員が子どもたちの援助希求に応えられるように準備を整えることであった。 2011年10月~11月に、中学校1校の協力を得て中学1年生の2クラスを対象にGRIPを実施した。GRIPの授業観察および実施後に行われた教員とのプログラム検討会であげられた意見をもとに、GRIPの改善を行った。具体的には、GRIPの内容や量、授業における運用方法(例.クラスで意見交換をする箇所の検討)、生徒への配慮(例.自己開示への配慮、グループワークの場合の人数構成)などである。我が国の学校現場の対人資源や学習指導要領との兼ね合いのなかで、より現場の教員が実施しやすく、一定の効果をばらつきなく生徒にもたらす自殺予防プログラムを作ることが出来た。
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Research Products
(10 results)