2009 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期夫婦の人生マネイジメント方略と精神的健康についての縦断的研究
Project/Area Number |
21530700
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
岡林 秀樹 Meisei University, 人文学部, 教授 (90281675)
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Keywords | 高齢者 / 生涯発達 / 人生マネイジメント方略 / 夫婦関係 / 縦断研究 |
Research Abstract |
平成21年度は、BaltesのSOC尺度の日本語版を作成することが目的であった。英語版のSOC尺度からトランスレーション-バックトランスレーションの手続きを経て作成した日本語版SOC尺度(4下位尺度×12項目=48項目)を527名の高齢者に対する郵送調査で10月に実施し、342名の回答が得られた。さらに、300名を対象にその1ヵ月後に再調査も行った。これらの調査の回答を用いて、日本語版SOC尺度の4つの下位尺度の信頼性(内的一貫性および再検査信頼性)と、人生満足度、抑うつ、統制の位置、パーソナリティの5因子、社会的望ましさとの関連が検討された。 信頼性に関しては、「選択的選択」尺度の内的一貫性が低かった(α係数:.467)が、これ以外の3つの下位尺度は、適度な(α係数:.65以上)を示していた。また、再検査信頼性に関しては、4つの下位尺度すべてにおいて.63以上の適度な信頼性係数が示されていた。 SOCのすべての尺度は、人生満足度、統制の位置とは正の相関、抑うつとは負の相関を示していた。SOCとパーソナリティとの関連としては、神経質傾向と「最適化」に負の相関、開放性と「喪失に基づいた選択」「最適化」「補償」に正の関連、誠実性と「選択的選択」「喪失に基づいた選択」「最適化」に正の相関がみられた。 また、SOCのすべての下位尺度が「社会的望ましさ」と有意な関連がなかった。このことは、尺度としては望ましいことであり、原版の尺度構成において、「社会的望ましさ」との関連を弱めるために強制選択法が用いられた工夫が、日本語版においても反映されたため、と考えちれる。 これらの結果より、日本語版SOC尺度において、ある程度の妥当性・信頼性が認められた、と考えられる。平成22年度の本調査においては、尺度の信頼性と実用性の観点から、精選した短縮版(4下位尺度×6項目=24項目)を用いることが望ましいことが示唆され、現在、精選作業に入っている。
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Research Products
(1 results)