2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期夫婦の人生マネイジメント方略と精神的健康についての縦断研究
Project/Area Number |
21530700
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
岡林 秀樹 明星大学, 人文学部, 教授 (90281675)
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Keywords | 生涯発達 / 高齢者 / 人生マネイジメント尺度 / 精神的健康 / 縦断研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢期における人生マネイジメント方略が高齢者の精神的健康にどのような影響をもたらしているのか、そして、配偶者どうしの心理状態はどのように相互関連しているのか、を明らかにすることである。5年間の全体的な構想は、600組程度の高齢者夫婦に郵送調査を行い、人生マネイジメント方略や精神的健康の夫婦間における相互関係を検討し、さらに3年後の追跡調査で、初回調査から追跡調査までの縦断的変化、および、その変化をもたらした要因を明らかにするというものである。2009年度に予備調査を終え、人生マネイジメント尺度の日本語版を作成することができた。2010年度には、その尺度を用いて、日野市に在住の70歳から79歳の男性とその妻1500組に対する初回調査が完了した。2011年度は,その初回調査のデータ解析をもとに,調査協力者へのフィードバックや学会発表の準備が行われた。具体的には,日野市在住の70歳から79歳の男性とその妻1500組に実施した郵送調査の回答データをもとに,葛藤場面における夫婦関係のタイプが,夫と妻それぞれの夫婦関係満足度にどのような影響を及ぼすのかを検討した結果,(a)夫婦の意見が合わない時には「お互いに意見が合うまで話し合う」ことが夫婦関係満足度を最も高めていた。(b)夫婦の片方または両方が「お互いに相手の意見を聞かない」と思っていることが,夫婦双方の夫婦関係満足度を低下させていた。(c)特に,夫婦のどちらか一方が「自分が相手に合わせており,自分たちの夫婦関係満足度はうまくいっている」と思っていても,もう一方が「自分たちはお互いに相手の意見を聞かない関係であり,自分たちの夫婦関係はよくない」と認識している可能性があることが明らかになった。このことから,自分の思い込みだけではなく,夫婦双方が相手と意思疎通をはかろうと努力することが,より良い夫婦関係を維持していく上で大変重要であることが明らかになった。研究における倫理的配慮として,調査協力者に対して,これらの調査結果を記載したパンフレットを作成し,郵送でフィードバックした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度には,初回調査の全体像を概観できる報告書の作成までは至らなかったが,初回調査における一部のデータ解析を行い,その結果をまとめたパンフレットを作成し,調査協力者にフィードバックすることができたため,おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度には,(1)初回調査の全体像を概観できる報告書の作成,(2)予備調査データを用いた人生マネイジメント尺度の開発に関する学会発表と論文執筆,さらには,(3)初回調査データの解析に基づいた学会発表の準備,を行う予定である。
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Research Products
(4 results)