2010 Fiscal Year Annual Research Report
母子家庭で育った青年のアイデンティティ形成-別れて暮らす父親との関わりを通して
Project/Area Number |
21530714
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀田 香織 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10251430)
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Keywords | 母子家庭 / 離婚 / 父親 / 不登校 / 語り |
Research Abstract |
本研究は、母子家庭で養育された子どもが青年に至るまでのアイデンティティ形成に、別れて暮らす父親との関係性がどのような影響を与えるかを検討するものである。中でも離婚によって母子家庭となった家庭で育った子どもと、別れて暮らす父親との関係を取り上げた。今年度は、離婚の記憶の残っている幼児期から思春期までに、両親が離婚した経験を持つ青年、離婚後学童期から思春期までの子どもを母子家庭で養育する母親との面接を引き続き継続しながら、父親との関係に分析を加えると同時に、筆者の臨床現場に訪れた母子家庭の親子のケースの分析を行った。その多くが不登校を主訴として訪れており、その原因は学校、学級、担任そして家庭をめぐる複合的なものと考えられた。父親との関係については、1.不登校という問題が発生しても父親の関与が全くないし、母親の語りの中にも全く父親の姿が登場しない、2.父親の関与は全くないが、母親および本人の語りの中で父親、もしくは親の離婚が問題となっている、3.不登校という問題をめぐって、父親から母親および本人への関与がある、という3つの場合に分けてとらえた。1.に属する事例にみられた危険性として、離婚に関わる問題が未解決のまま封印されている場合、本人が父親の血を引くことを無意識のうちに否認している場合が挙げられる。多くの事例が2.に属していたが、本人は父親の喪失体験から立ち直ることができておらず、思春期の事例では、離婚を巡って母親に怒りを抱いている場合もあった。一方、母親は父親への怒りと同時に本人への罪悪感を抱き、母子家庭がそうした感情にとらわれた閉鎖的な空間となっていることが見られた。3.の場合は、父親の関与が、家族システムにどのように作用するかによって、異なる作用を及ぼすことになる。小学生女児の事例では、非日常的な父親の関与によって、父親が理想化され、日常的に関わる母親が価値を下げられ、母娘の対立関係が激化している事例がみられた。
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Research Products
(1 results)