2011 Fiscal Year Annual Research Report
物語共有による発達障害大学生の経験的学習の推進-Web支援システムの構築-
Project/Area Number |
21530720
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齋藤 清二 富山大学, 保健管理センター, 教授 (70126522)
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Keywords | 発達障害 / Webサポート / 質的研究 / アクション・リサーチ / 経験主義的学習 / 物語共有 / 大学生 / ナラティブ |
Research Abstract |
前年度に引き続いて、Websシステム(PSNS)を通じた支援と、テクストデータの収集を行うとともに、得られたテクストデータの分析を継続した。また前年度の分析結果から、理論的サンプリングにより、新しい必要事例の研究への参加を募った。研究開始時における暫定的な仮説について検討を行い,支援計画および研究計画の見直しを行った。入学時から4年間にわたって支援を受けた事例についての質的研究の結果から以下の知見が得られた。1)Webシステムを利用した文章表現の場を提供することによって「省察的な文章を書く能力」を適切に展開させる「場」が与えられ、2)「クレーム」を含む表現が「有効化」される応答をくり返し体験することにより「往復書簡」的な相互交流が促進され、3)共有された安心できる空間を基盤として「好きなものについての語り」を展開させることが可能になり、更に「肯定的な自己アイデンテの語り」へと展開した。4)このような、読む/書く/共有する、ということが可能となる安心できる空間(場)の提供が、発達障害学生の経験的学習を通じての成長を推進させていた。またWebによるコミュニケーション支援システムの副産物的な成果として、カルト集団からの勧誘被害の防止、アルバイト先でのハラスメント事件への対応、健康不安への支援、海外研修における危機管理対応、自殺関連行動への緊急対応、などの多彩な状況における有効性を例証する事例を集積することができた。これらの事例についての詳細をまとめた報告書『大学生へのコミュニケーション支援とナラティブ・アプローチ』(181頁)を作成し、内外の機関に配布した。
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Research Products
(4 results)