2010 Fiscal Year Annual Research Report
中学校における危機介入と惨事ストレスケアのための総合的・組織的介入システムの構築
Project/Area Number |
21530722
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 篤子 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (80262822)
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Keywords | 危機介入 / 惨事ストレスケア / 中学校 / IES-EG / 心理的危機 |
Research Abstract |
惨事発生時における、心理的危機への対応は、物理的な惨事そのものに対する対応と比較して、かなり遅れており、その必要性について論じられるようになったのも、日本ではサリン事件、阪神大震災、学校現場では池田小の事件後のことである。そのため、近年学校現場においても対応のマニュアル化などが進んでいるものの、その効果などはまだ十分に精査されるに至っていない。そこで、本研究では、中学校で実際に発生した事件の直後から行われた、危機介入のプロセスを検証し、個別の危機介入のみでなく、現場でスムーズに動けるような、意志決定経路や要員の確保、マスコミ対応などを組み込んだより総合的、組織的介入システムの構築を目的とする。 二年目に当たる本年度は、事件後に継続的に取得したIES-R(改訂版出来事インパクト尺度)データの整理を行った。事件直後被害者の間近で事件を目撃したグループのIES-R得点は、そのほかのグループのIES-R得点よりも有意に高かった。しかし、どちらのグループも事件1ヶ月後にはIES-R得点は顕著に低下し、ほぼ同じぐらいの得点となった。事件を目撃したグループには臨床心理士が積極的に介入していることから、その効果があるとも考えられるが、この結果からだけでは、介入の効果を特定することはできない。最終年度において、介入の効果や効果的な介入法について検討する予定である。
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