2011 Fiscal Year Annual Research Report
街頭犯罪予防に向けたステーク・ホルダーへの実践的介入
Project/Area Number |
21530729
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福田 廣 山口大学, 教育学部, 教授 (20100977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 凱典 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (10368574)
恒吉 徹三 山口大学, 教育学部, 准教授 (20274409)
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
沖林 洋平 山口大学, 教育学部, 講師 (20403595)
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Keywords | 街頭犯罪 / 啓蒙活動 / プロファイリング |
Research Abstract |
本研究は、ひったくりをはじめとする街頭犯罪について、加害者、被害者、防犯主体という三者のステーク・ホルダー(利害関係者)にアプローチし、予防に向けた介入プログラムの研究開発と実践を目的とする。 犯罪心理学におけるこれまでの研究の多くは、(1)犯行現場の物理的側面から改善策を模索する、工学的アプローチ、(2)被害者になりうる人々の意識的側面に焦点を当てた、社会心理学的アプローチ、(3)加害者の人格・行動特性などを明らかにする臨床的アプローチ、の三つに分類できる。いずれも研究目的はもちろん研究方法、分析対象とするデータ、現場介入への度合いが異なっており、個別的・専門的に研究が進められている。しかしある事件が発生するときには、それぞれの要因が複雑に絡み合っており、一側面へのアプローチでは、現象に対する十分な理解ができるとは言い難い。そこで本研究では、この三つの側面それぞれについて多角的にアプローチすることによってより深い理解を得、より効率的な介入プログラムを作成、実践的に応用して効果測定を行うことを目指す。 本年度は最終年度であり,一般的な犯罪に対する態度における「耐性(トレランス)」をキーワードとして,どのような(防犯活動に関する)情報の提示が効率的であり,どの情報提示がどの層にとどくか,あるいは市民の態度形成にどのような影響があるのかを検証した。昨今はインターネットを介した情報が溢れており,従来のメディア・リテラシーに加えてインターネット・リテラシーが影響すると考えられたが,調査結果からはインターネットに多く触れていることが独特の態度形成をするような傾向は見られず,むしろ改めて家族構成や人間関係のあり方が犯罪に対する態度に強く影響することが示された。一方で,倫理意識などが媒介変数として存在することが示され,今後の日本社会における道徳観,社会規範の変化に合わせた情報提示が必要とされている。
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