2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・コントロールにおける社会的随伴性の役割:他者の存在を活用した行動自己制御
Project/Area Number |
21530748
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
杉若 弘子 同志社大学, 心理学部, 教授 (90257171)
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Keywords | セルフ・コントロール / 他者介在型 / 自己完結型 / 状況要因 |
Research Abstract |
他者の存在を活用した行動の自己制御という視点から、セルフ・コントロールにおける社会的随伴性の役割について検討している。前年度の研究成果として作成された評価尺度をベースにして、「自己完結型」と「他者介在型」という2つのタイプのセルフ・コントロールが、それぞれどのような状況で活性化されるのかについて、paper & pencil形式によるデータ収集を行った。自己完結型セルフ・コントロールを構成する「コントロールする反応(controlling response)」には、自己教示やセルフ・モニタリング、あるいは下位目標の設定や問題解決方略の適用などが含まれている。一方、他者介在型セルフ・コントロールに含まれるのは、他者に向けた目標の宣言や行動契約、あるいは他者共在場面での行動遂行などである。大学生を対象として、試験勉強に取り組むというアカデミックな場面でのセルフ・コントロール行動の変化を比較したところ、自己完結型と他者介在型のいずれのセルフ・コントロールにおいても、状況の困難度が低い条件よりも高い条件で行動が活性化することが明らかになった。困難度の高い状況では、より多くの方略を用いて行動を開始し、維持しようと試みる傾向が示されたといえるだろう。他者の存在を活用したセルフ・コントロールに独自の機能が発揮されるのはどのような状況であるのか、これに影響する要因についてはさらなる検討を加える予定である。
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