2011 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のうつに対する集団認知行動療法の地域における実証研究
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21530749
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
日下 菜穂子 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (70309384)
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Keywords | 高齢者 / うつ予防 / 認知行動療法 / 地域 / 生きがい |
Research Abstract |
高齢期のうつ病の予防および治療のための介入方法を構造化し、地域活動の場での集団的マネジメントに活用しうる手法の開発を目的に研究を行った。研究は次の3つのプロセスからなっている。a)地域在住高齢者を対象としたうつ病予防のための心理教育のあり方の検討、b)高齢者の心身機能の加齢変化や居住地域の特性に配慮した気分改善のためのプログラムの検討、c)その実践と効果の測定、の3つである。 a)に関して市役所との連携によるプログラム介入を行い、プログラム後の継続的支援も検討した。b)については、改良された人生目標の発見と追求の支援である生きがいプログラムを介入に用いた。従来の日常生活上の活動や対人交流の質の改善に焦点を当てたうつ予防のプログラムに、生活目標を追求する支援を取り入れた。c)プログラムは、中高年者および小学生を対象に実施し、参加者の希望や心理的well-beingにおける変化を効果の検証の指標とした。また、プログラムにスタッフとして参加する大学生のキャリア構築過程に及ぼす影響も検証した。プログラムの効果の検証は、うつなどの否定的感情と同時に肯定的感情の両面から行った。改良したプログラムに参加した介入群と統制群の結果の分析により介入の効果を確認した。また、統制群についてはウェイテイング・リスト方式を採用し、参加6ヶ月後の追跡調査を実施した。 得られたデータの分析から、改良されたプログラムが高齢者のうつの改善と心理的well-beingの向上に有効であることが明らかとなった。さらに、小学生の希望、大学生のキャリア構築過程への影響についてもプログラムによる介入の効果が確認された。
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