2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530757
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 秀明 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (70347079)
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Keywords | 感性心理学 / 心理脳科学 / 意味微分法 / 美 |
Research Abstract |
心理印象や感性評価で頻繁に利用される意味微分法(semantiec differential method:以下、SD法)により抽出される評価性、活動性、力量性の基本的因子は、様々な文化圏や対象を越えて広く存在することが認められているので、固有の安定した脳内基盤をもつ可能性が極めて高い。ところが、SD法に関連した脳活動を実際に測定した研究は、脳波における事象関連電位よる研究などがあるものの、非常に少ないのが現状である。そこで、OsgoodがSD法を考案してから約50年が過ぎた現在、ニューロイメージング技法を駆使して、E(評価性)、A(活動性)、P(力量性)の主要な感性次元が所定の異なった脳内基盤を持つことを世界に先駆けて明らかにすることが本研究の目的である。 最近、Schaefrr and Rotte(2010)はfMRIを用いて、製品ブランドのSD法による評定を行っているときの脳活動を計測したが、そこでは社会的適性と呼ばれる因子と力量性因子しか取りあげられなかった。本研究課題によって、EAPの基本的3因子の脳内基盤がはじめて体系的に示されたといえる。その結果、E因子に関与する領野は下前頭回で、特に美感や快に対応する情動や報酬価の判断に関連した部位が関与することが確認された。A因子に主に関与するのは、聴覚連合野に対応する両側の上側頭回周辺や、運動制御にかかわる左中心前回であった。P因子の場合には、左縁上回や上前頭回が関与することが明らかにされた。 これらの知見はSD法を用いた従来の多数の研究結果を脳科学の観点からとらえなおす契機を与えるものであり、今後の感性研究にとって心理神経科学的基盤を提供するものといえる。このような意義から、Japanese Psychological Research誌の特集号"Kansei as mental activity"(2011)に論文として掲載された。
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[Journal Article] Topographic distribution of brain activities corresponding to psychological structures underlying affective meanings : An fMRI study2011
Author(s)
Kawachi, Y., Kawabata, H., Suzuki, M., Shibata, M., Imaizumi, O., Gyoba, J.
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Journal Title
Japanese Psychological Research
Volume: 53
Pages: 361-371
DOI
Peer Reviewed
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