2009 Fiscal Year Annual Research Report
顔年齢が衝動性や抑制判断に及ぼす影響-子供の顔は衝動性を抑制させるのか?-
Project/Area Number |
21530775
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Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
永山 ルツ子 Shizuoka Eiwa Gakuin University, 人間社会学部, 准教授 (40326434)
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Keywords | 実験心理学 / 顔の認知 / 葛藤 / 前頭前野 |
Research Abstract |
平成21年度は、購入した光イメージング脳機能測定装置を用いて、葛藤課題における異なる年齢の顔刺激(幼児・成人の顔)を提示することにより、顔の年齢が課題に及ぼす影響について検討した。実験参加者に課した課題は、他者の顔に対して魅力的かどうかという客観的魅力判断課題と、自分より魅力的かという自己関連魅力判断課題であった。子どもの顔に対しても、単に可愛いかどうかという客観的魅力判断と、可愛さを基準にして自分の子供にしたいかどうかという自己関連魅力判断を課した。実験で用いた自分より美人かどうかというような優劣をつける判断は、表面的には出しにくい判断で一種の葛藤課題であるといえる。このようなネガティブな感情判断を抑制する場合、両側前頭前野が活性化することが報告されている(Hooker et al., 2010)ことから、本実験では、両判断に関する反応時間と脳血流の変化の2指標を用いて測定した。その結果、自己関連魅力判断は、客観的魅力判断に比べ判断しにくいことから、認知的葛藤が生じやすいと考えられ、感情抑制の先行研究と同様に両側前頭前野が関係する可能性が示唆された。 本研究の結果は、顔に対するネガティブな判断をした際には、葛藤が生じそれが行動抑制につながる可能性があることを示唆している。近年、児童虐待の発生件数が多くなっているが、虐待する側の行動特性について、認知的側面からはあまり研究されていない。本研究の意義は、子供を含む顔の認知と衝動性特性、および前頭葉機能課題に関する研究結果より、虐待する側の行動特性の基礎データを得られることにある。
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