2011 Fiscal Year Annual Research Report
顔年齢が衝動性や抑制判断に及ぼす影響-子供の顔は衝動性を抑制させるのか?-
Project/Area Number |
21530775
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Research Institution | Shizuoka Eiwa Gakuin University |
Principal Investigator |
永山 ルツ子 静岡英和学院大学, 人間社会学部, 准教授 (40326434)
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Keywords | 顔 / 認知 / 視線 / 子ども / 母性 / 月経周期 |
Research Abstract |
近年、児童虐待の発生件数が多くなっているが、虐待する側の行動特性について、認知的側面からはあまり研究されていない。本研究の意義は、子どもの顔の認知と月経周期、母性に関する研究結果より、虐待する側の行動特性の基礎データを得られることにある。平成23年度は,Gaze Cuingパラダイムを用いて,幼児の顔および成人男性の顔に対する注意抑制について検討した。実験1では,母性の観点から検討した.実験1では、成人女性の視線が幼児の顔(笑顔・泣き顔)を向いている状況、向いていない状況という仮想母子相互作用状況場面下で、実験参加者の親子関係の安定度の違いが視線方向判断にどう影響するのかを検討した。実験参加者の課題は、成人女性の視線方向を判断することである。実験参加者には、前もって親子関係尺度を課していた.その結果、視線方向判断は、実験参加者の親子関係の安定度によって違いがみられた。親子関係の安定度が低い場合、視線の方向だけではなく、幼児の表情も加味した全体的な状況で判断する傾向があり、特にネガティブな状況下で何らかの心的葛藤により判断が遅れることが示唆された。実験2では,月経周期の観点から実験を行った.女性の場合、妊娠可能性が高い時期にはより「男性的な顔」を好むようになること,さらに、女性は男性に比べると子どもの顔に敏感なことが報告されており、配偶者として男性の顔を認知するだけではなく、子孫としての子どもの顔に特異的な反応をすることが示唆されている.実験2では、視線の向いている場所にターゲットである子どもの顔が提示されたときに,妊娠可能性が高い実験参加者は視線判断が早くなるかどうか,また妨害刺激(男性顔)が視線判断に影響するのかどうかも検討した.その結果,妊娠可能性高群は,低群に比べて妨害刺激(男性顔)が提示されると,妊娠可能性高群の視線判断は低群に比べて影響されることがわかった.これらのことから,顔の認知は実験参加者の母性や月経周期の影響を受けることが示唆された.
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Research Products
(4 results)