2011 Fiscal Year Annual Research Report
健康な摂食量を実現するための、「食べ止む」要因の実験的な解明とその応用
Project/Area Number |
21530778
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
青山 謙二郎 同志社大学, 心理学部, 教授 (50257789)
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Keywords | 食行動 / 肥満 / セッション内減少 / 飽和 / 条件性飽和 / 学習 / ラット / 人間 |
Research Abstract |
人間でも動物でも、食べ物を一定の時間(数十分程度)食べ続ける場合、最初のうちは速いペースで食べるが、徐々に食べるペースが低下して行く。この数十分間の実験時間を実験セッションと呼び、そこで見られる食べるペースの低下をセッション内減少と呼ぶ。本課題では、摂食に関する過去の経験がセッション内減少に及ぼす効果を検討し、健康な摂食量を実現するための食行動のコントロール法を探求した。 平成23年度は、ラットを対象とした実験を行い、摂取する経験を繰り返すうちに"中毒"的な渇望状態を示すことが知られている砂糖水を報酬として、過去の摂取経験が、後のセッション内減少パターンに与える影響を検討した。具体的には、ラットがオペラント箱でレバーを押す度に砂糖水を報酬として提示し、同時に光と音の複合刺激を提示した。これにより複合刺激と砂糖水の関係の学習を10日間にわたり行わせた。この訓練の終了後、1ヶ月間は砂糖水を与えずに通常の餌と水は自由に与える自由摂食状態で飼育した。その後、再びオペラント箱に入れ、レバー押し行動に対して砂糖水と光と音の複合刺激を与えたところ、レバー押し行動が増加し、"渇望の孵化"が生じることが確認された。この渇望の孵化には光と音の複合刺激が砂糖水と連合していることが重要であることが知られているが、渇望の孵化が生じる場合のセッション内減少のパターンは、空腹状態を変化させる実験操作および報酬の誘因価を変化させる実験操作のどちらとも異なるパターンであることが確認された。このパターンは平成22年度の研究で明らかになった条件性飽和のパターンとも異なっており、砂糖水を摂取する経験に基づく学習の効果は、単なる栄養状態の条件づけによる学習とは異なることが確認された。
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Research Products
(3 results)