2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530779
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中島 定彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (40299045)
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Keywords | 味覚嫌悪学習 / 運動 / 走行 / 水泳 / ニコチン / エタノール / ストレス / 系統差 |
Research Abstract |
気渇動因下にあるラットを被験体とし、以下の諸実験を行った。1については国際学会で発表し、2については国内学会で発表した。3については平成24年5月開催の日本動物心理学会第72回大会で発表予定である。なお、平成21~22年度の研究成果をもとにした論文2篇が平成23年度に国際誌に掲載された。 1.回転カゴ走行によって生じる味覚嫌悪学習について、F344系とLewis系を用いて比較を行ったところ、4基本味のいずれに対しても両系統間で同程度の嫌悪学習が生じた。この両系統は、嗜癖性薬物を用いた味覚嫌悪学習の強度が異なるとの報告があるが、回転カゴ運動による味覚嫌悪学習の強度に差がなかったことから、味覚嫌悪学習のメカニズムに関して嗜癖性薬物と回転カゴ走行の間に質的な違いがあることが示唆される。なお、Wistar系とLong-Evans系で行った同様の実験でも系統差が見られなかった。 2.昨年度に引き続き、味覚嫌悪学習を引き起こす2種類の運動である回転カゴ走行と水泳の比較を行った。その結果、事前走行は水泳による味覚嫌悪学習を阻害するが、事前水泳は走行による味覚嫌悪学習を阻害しないことが明らかとなった。運動性味覚嫌悪学習における作用メカニズムは、走行の方が水泳よりも広範であることを示している。 3.カフェインの剥奪経験と対呈示された味覚に対して、ラットは嫌悪を示すようになるが、エタノールやニコチンの剥奪経験でも味覚嫌悪学習が生じるかどうかを検討したところ、エタノールについては統計的に有意な効果が得られた。ニコチンについては「有意傾向」にとどまった。これらの結果から、嗜癖性薬物の剥奪(離脱症状)による味覚嫌悪学習と運動性味覚嫌悪学習の類似性・相違性について考察した。
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