2010 Fiscal Year Annual Research Report
音楽科教師の実践的力量形成に関する研究:演奏指導力を中心に
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21530954
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
菅 裕 宮崎大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (30272090)
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Keywords | 音楽教育 / 器楽指導 / PAC分析 |
Research Abstract |
大学のピアノ・声楽教員,および学外のフルート指導者のレッスン時の指導の様子を録画し,指導者の指導スタイル,指導の手段について分析を行った。その結果,指導スタイルは,教師の指示に生徒を従わせるコマンド型が圧倒的に多いこと,一部の場面で質問やモデル提示による「足場かけ」を行っていることが明らかとなった。各指導者には,PAC分析によるインタビューを実施し,指導の背後にある音楽観や教育観について分析を行った。各指導者に共通していることは,演奏者自身が楽曲の意図を理解することの重要性を強調していることであった。こうした指導観と指導スタイルとの関連について分析を進めていくと同時に,こうしたレッスン指導体験が学習者である学生の音楽観や音楽教育観にどのような影響を与えているかについて考察する予定である。 またアメリカ合衆国インディアナ大学音楽科で行われている器楽指導法の授業に参加し,指導者養成のカリキュラムや授業内容について調査を行った。インディアナ大学の「器楽指導法」では,クラスルームのマネジメント,カリキュラムデザイン,リズム指導,音程指導,合奏中の指導方法など器楽指導をめぐる諸課題に焦点を当て,学生自身の経験を想起させながら望ましい指導の在り方について討論形式で学習が進められている。また同時に地域の高校のバンドやオーケストラにおける指導補助が課題として割り当てられている。このため学生は,教室での学習と指導体験における実践との統合的に学習を進めていくことができる。今後,日本の教員養成カリキュラムへの適用可能性について検討していく。
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