2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等部(知的障害)のキャリア発達に基づく「職業教育の学習内容表」と指導方法の構築
Project/Area Number |
21531023
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 明広 静岡大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30310923)
|
Keywords | 知的障害特別支援学校 / キャリア発達 / 職業教育 / 作業学習 / 職業教育の学習活動表 |
Research Abstract |
本研究(平成23年度)は、キャリア発達、すなわち職業的(進路)発達にかかわる諸能力を育成する視点から、特別支援学校(知的障害)高等部の職業教育(作業学習)について、「職業教育(作業学習)の学習活動表」の作成を試みる。軽度の知的障害生徒を対象としたA特別支援学校高等部の作業学習で実施されている、もの作り(木工、陶芸などの製作・生産)の学習内容と流通・サービス(商品管理・販売・事務)の学習内容について、国立教育政策研究所生徒指導研究センターの作成した「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)で示された「職業的(進路)発達にかかわる諸能力」と国立特別支援教育研究所が作成している「知的障害のある生徒の『キャリア発達段階・内容表(試案)』による「各学部において育てたい力(観点)」との関連付けを行った。その結果、もの作り中心の学習内容から培われるものは情報活用能力(情報収集と活用)が半数近くを占め、次に意思決定能力と将来設計能力はほぼ同数で4分の1近くずつを占めることが分かった。情報活用能力は作業活動についての知識や技能、意義と役割の理解、実践的な態度である。〔流通・サービス〕の学習内容も情報活用能力に関連付けられたものが多いが、4分の1の学習内容に人間関係形成能力(場に応じた言動)が関連付けられた。接客応対は対人関係のスキルやコミュニケーション能力を育てる。この他、キャリア発達の視点から目標の設定、学習内容の選定、授業の進め方を検討するための知見を得た。 目的に関連して、平成21、22年度に続き、B特別支援学校高等部において、キャリア発達の目標設定を加えた、個別の指導計画の作成を試みた。作業学習の目標設定にあたり、「発達段階・内容表」の「育てたい力」を指標とすることができた。キャリア発達に基づく目標の設定は個別の指導計画の中の年間計画や単元(授業)における具体的な学習内容を選定し、支援の手だてを明確にすることにつながる。作成を行った4人の担当教師に、キャリア発達の目標を加えたことの意義や成果、課題を聞き、具体的な目標の設定と学習内容の選定、キャリア教育とICFに基づく支援の工夫等について、検討をしている。
|