2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540101
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 Kinki University, 理工学部, 教授 (80270362)
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Keywords | 微分可能写像 / 可微分多様体 / 写像の特異点 / 折り目特異点 / 折り目写像 / トム多項式 / 障害類 / 安定スパン |
Research Abstract |
微分可能多様体の間の無限階微分可能写像の特異点には、多様体の微分構造や位相構造が顕著に反映される。そこで、次のような問題設定は、微分位相幾何学の中心問題と一つと考えられる:「微分可能多様体が二つ与えられたとき、それらの多様体の間に、良い微分可能写像が存在するか否かをどのようにして判定することが出来るか。」良い写像のこう補としては、多様体の次元が等しいときは、微分同相写像であり、定義域多様体の次元よりも値域多様体の次元の方が大きいときは、埋め込み写像(もっと一般には、はめ込み写像)である。そこで、逆に定義域多様体の次元よりも値域多様体の次元の方が小さいときは、「折り目写像」と呼ばれる微分可能写像が候補となる。特に、値域をユークリッド空間にすると、微分可能写像には必ず特異点が現れるから、その中でも余階数が一番少ない折り目写像はいつでも現れるので、折り目写像の存在問題を考えるのは自然だろう。値域が1次元の場合、つまり関数の場合は、折り目写像はモース関数になるので、自然な問題設定といえる。ただし、この場合の存在問題の答えは自明なので、値域の次元が2次元以上の時が問題となる。2次元の場合は、Thom-Levine-Eliashbergの定理があり、折り目写像の存在のための必要十分条件が定義域多様体のオイラー標数が偶数であることである。これは、カスプ消去の障害とも考えられる。値域が3次元の場合は、すでに多くの結果が得られている。さらに、値域を4次元にした場合に、カスプ消去のために第一次障害類はThom多項式である。第二次障害類を決定することは重要な課題である。4次元のときには、これがオイラー標数の偶奇である。
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