2011 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導におけるギャップ関数を温度と波数ベクトルの両方の関数として扱う数学的研究
Project/Area Number |
21540110
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 秀司 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90222405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 三郎 群馬大学, 名誉教授 (10110397)
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Keywords | 超伝導 / 2次相転移 / BCSギャップ方程式 / 温度 / 不動点定理 / 熱力学ポテンシャル / 陰関数定理 |
Research Abstract |
超伝導のBCSギャップ方程式に登場するポテンシャルが定数ではなくてエネルギーの関数となっている場合でも、BCS理論などの超伝導の物理学や工学においては、BCSギャップ方程式の解が温度に関して連続であること、さらには、温度に関して微分可能であることなどが、数学的な証明なしで、依然として仮定されたままです。そこで、この方程式の解が温度に関して連続であることを、Banachの不動点定理を応用して証明しました。 まずは連続関数から構成されるBanach空間を採用して、昨年度の私の研究成果に基づいて、BCSギャップ方程式の解がこのBanach空間のどのような閉部分集合に属するのかを予想し、解の空間を選定しました。次に、BCSギャップ方程式から定まる非線形積分作用素が、その集合からそれ自身への写像であることを示しました。これまでに得られた私の研究成果に再び立脚して、上の非線形積分作用素が縮小写像になっていることを、温度がある条件を満たすときに示しました。これらの結果として縮小写像に係わるBanachの定理が適用できます。このようにして、温度がある条件を満たすときは、BCSギャップ方程式の解がエネルギーのみならず温度についても連続であることが証明できました。 アメリカやヨーロッパにおいて行われた、この方面における数学的な先行研究では、解の温度に関する性質は、数学的な困難さ故に全く調べられておりませんでした。この意味で、私の研究成果は画期的であり、極めて重要であると同時に、極めて独創的です。
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