2010 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元力学系における分岐とホモ/ヘテロクリニック挙動
Project/Area Number |
21540124
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 一幸 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40200472)
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Keywords | 力学系 / 無限次元系 / ホモ/ヘテロクリニック挙動 / 分岐 / 摂動法 / 微分ガロア理論 / 数値解析 |
Research Abstract |
本研究では,解析的および数値的な手法を用いて,偏微分方程式系や離散格子系などの,さまざまな無限次元力学系において起こる分岐現象およびホモ/ヘテロクリニック挙動を明らかにする.より具体的には,偏微分方程式系におけるパルス解の分岐に対する解析手法を開発し,偏微分方程式系の精度保証付き数値分岐解析法を確立し,さらに離散格子系を含む無限次元系におけるホモ/ヘテロクリニック挙動を解析的あるいは数値的に解明することを目的とする. 本年度は,まず,空間1次元偏微分方程式系において,前年度のパルス解に対するアプローチを適用し,常微分方程式系におけるサドル型平衡点のヘテロクリニック軌道によって与えられるフロント解に対して,サドル・ノードおよびピッチフォーク分岐が起こる条件をメルニコフの方法を拡張するなどして解析を行い,変分方程式が微分ガロア理論の意味で可積分になることを示した。また,力学系のダイナミクスを理解する上だけでなく,分岐解析を行う上でも重要な役割を果たす中心多様体に対して,ある偏微分方程式を数値的に解き求めるという数値計算法を提案した.さらに,無限次元力学系を有限次元系で近似して周期軌道のホモ/ヘテロクリニック挙動を求める際に必要となる,高次元写像の安定/不安定多様体の数値計算法を提案した.これら3つの結果に対して具体的な適用例を示し,数値解析結果をも与えて,それらの結果の有効性を明らかにした.また,これらと類似の理論的および数値的アプローチを用いて,重力の作用するコマや古典力学の三体問題に対する解析を行った.特に,コマの問題ではこれまで不備のあったカオス存在の証明を与え,三体問題では円周オイラー解と呼ばれる周期軌道からこれまでに求められている数多くの相対周期軌道が分岐し発生することを数値的に示した.
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Research Products
(4 results)