2013 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間及びクライン群の変形空間の複素解析的構造の研究
Project/Area Number |
21540177
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮地 秀樹 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40385480)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タイヒミュラー空間 / モジュライ空間 / タイヒミュラー距離 / 極値的長さ / 写像類群 / ホロ関数境界 / グロモフ積 |
Research Abstract |
タイヒミュラー空間の複素構造による小林距離はタイヒミュラー距離と一致することから極値的長さを用いてタイヒミュラー距離を研究し,複素構造を研究することが考えられる.F. GardinerとH. Masurによるコンパクト化は,Thurston理論における極値的長さに関するタイヒミュラー空間の完備化であるため,Klein群論と密接に関連するThurston理論と複素構造による幾何との関連を解明することも期待する. 本年度は,上記の思想のもと,先に得られた極値的長さのThurston理論に関して,粗い幾何(Coarse geometry)の視点からタイヒミュラー空間上に作用する自然と思われる写像を導入した.この写像は任意の距離空間について定義される写像であり,グロモフ双曲空間の場合には境界まで全単射に拡張される写像である.この写像の族は半群となり,自然な同値関係により群を得る.このとき,タイヒミュラー空間においてこの群は拡張された写像類群と同型であることを示した.このことから今回定義した写像はタイヒミュラー空間上において擬等長写像とは異なる,モジュライと関連する新たな自己等長写像の自然な粗化(coarsification)であることが示唆される.またThurston理論を応用して,単位円板からタイヒミュラー空間への正則写像の剛性定理を与えた.具体的には,2つのベアス埋め込みの像への正則写像の非接極限が単位円板の境界においてほとんど至る所一致する条件をタイヒミュラー空間という内在的な量により特徴付けることに成功した.この結果は今回得られたThurston理論の複素解析的な応用であり,上記の思想の元の研究がある意味で自然であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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