2011 Fiscal Year Annual Research Report
消散項を持つ双曲型方程式の解の漸近挙動と特異摂動問題
Project/Area Number |
21540201
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山崎 多恵子 東京理科大学, 理工学部, 教授 (60220315)
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Keywords | Kirchhiff型方程式 / 消散型双曲型方程式 |
Research Abstract |
減衰の速い消散項を持つKirchhoff型準線形双曲型偏微分方程式の漸近挙動について研究した。 消散項の時間に関する減衰が速い時の線形双曲型偏微分方程式に関しては、散乱作用素の存在が知られている。減衰が速い消散項をもつKirchhoff型準線形双曲型偏微分方程式に関しても同様の結果が期待できるが、この場合は、消散項のない方程式についても、遠方で減衰して小さい初期値に対してしかし大域解の存在が知られていない。また、消散項の減衰が遅い時には、消散作用をもちいて大域解の存在を示せるが、消散項の減衰が速い時には消散作用が弱いために同様の議論を用いることができない。昨年度は値が小さい可積分関数を消散項の係数として持つKirchhoff型方程式について遠方で減衰して小さい初期値に対して大域解の存在と漸近挙動をアプリオリ評価を用いて示したが、本年度は値が小さいとは限らない可積分関数を消散項の係数として持つKirchhoff型方程式に対し、減衰し小さい関数のクラスで散乱作用素の存在を縮小写像の方法を用いて示した。準線形性のために、波動作用素の逆関数を構成する方が波動関数の構成よりも困難である。Greenberg-Huが消散項のないKirchhoff型準線形双曲型偏微分方程式の大域解の存在を示す時に用いた変換を本研究でも用いるが、消散項の係数が変換に依存するため、変数変換の変換に対する依存性を評価した。また、消散項を伴わないKirchhoff型方程式の大域解及び散乱作用素の存在性に従来用いられてきた評価法をそのまま利用しようとすると、消散項の係数の値の小ささの仮定が必要になる。本研究ではその点も改良した。
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