2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540225
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 雅彦 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (30348461)
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Keywords | 超幾何級数 / ジャクソン積分 / ワイル群 / 差分方程式 / 隣接関係式 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、「BCn型ジャクソン積分が満たすホロノミックq差分方程式系を一階連立差分方程式系で表したときの係数行列を求めること」が22年度の一つの目標であった。昨年度、最もランクが低いn=1の場合のBC1型ジャクソン積分の満たす方程式系を詳細に調べたので、今年度はその次の段階として、BCn型ジャクソン積分でパラメータの個数が7個の場合に、BCn型ジャクソン積分が満たすランクn+1のq差分方程式系を詳細に調べた。具体的には、BCn型「基本対称式」の拡張としてBCn型「補間多項式」と呼ばれる対称多項式の族を定義し、BCn型「補間多項式」を積分してできる関数の間に三項間漸化式(隣接関係式)が成立することを示した。次にその三項間漸化式を繰り返し使うことにより、BCn型ジャクソン積分が満たす一階連立q差分方程式系の係数行列をガウス分解(LU分解)の形で具体的に表示した。特徴はガウス分解の上三角・下三角行列の各行列成分が二項式の積に因数分解された形に規則的に書けているという点にある。その応用として、Gustafsonによるq超幾何積分の無限積表示に対して別証明を与えた。以上の成果をまとめた論文は雑誌Advances in Mathematicsに掲載された。また、国内においては、日本数学会秋季分科会および函数方程式論分科会の研究集会「微分方程式の総合的研究」で成果を発表し、海外においては、オーストラリア・メルボルン大学で発表した。
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