2011 Fiscal Year Annual Research Report
標準模型の格子定式化と電弱ゲージ対称性の破れ及びバリオン数非保存過程の解析
Project/Area Number |
21540258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 芳夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20252421)
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Keywords | 格子ゲージ理諭 / 素粒子標準模型 / 電弱ゲージ対称性 / バリオン数非保存 |
Research Abstract |
本研究では,格子ゲージ理論として構成されたGlashow-Weinberg-Salam模型(ゲージ群SU(2)×U(1)に基づく電弱統一理論)を応用して,摂動論的にはバリオン数拡散率のone-loop計算を,非摂動論的にはヒッグスセクターの構造に関する研究を行う.また,格子Glashow-Weinberg-Salam模型を,さらに,SU(3)を含む標準模型やSO(10)カイラルゲージ理論等に拡張するための基礎的な研究を並行して行う計画である. 格子カイラルゲージ理論の場合,有限格子間隔でゲージ不変性を厳密に保つために,カイラルフェルミオンの生じるゲージアノマリーの厳密相殺を示すことが重要である。このために,局所的コホモロジー問題と呼ばれる数学的な問題を考察する必要がある。この問題は,これまでU(1)群とU(1)xSU(2)群の場合のみ解が得られていた。 この問題を解く方法について,平成21年度に得られた着想は,格子上のゲージアノマリーの変分を与えるChern-SimonCurrentが,局所的,かつ,ゲージ共変的に与えられていることに着目し,これをField Tensorによってbi-localfieldに展開すると,局所的コホモロジー問題の解が簡潔な形式で求められるようになる,というものである.この解は,数値的な方法で評価できる程度にまで簡単化されているため,数値的にゲージアノマリーの相殺を示すことが可能になると期待される. 平成22年度には,この方法がSU(N)2次元格子カイラルゲージ模型に適用できることが確かめられた.平成23年度には,ゲージアノマリー相殺項のゲージ変換性と局所性の数値的検証を進めた.現在,SU(N)2次元格子カイラルゲージ模型の構成法の詳細を検討している段階である。今後は,4次元カイラルゲージ模型での理論的考察と数値的方法による検証を押し進める。
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