2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540274
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安田 修 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 准教授 (50183116)
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Keywords | コュートリノ振動 / フレーバー混合 / ニュートリノ質量 / 長基線ニュートリノ実験 / CP非保存 |
Research Abstract |
1.ニュートリノの伝播中の物質効果に新物理の効果がある場合、現在のT2K長基線ニュートリノ実験の拡張構想であるT2KK計画で、どの程度まで新物理のパラメーターに感度があるかを、電子ニュートリノとタウニュートリノの成分だけに注目して数値的に解析した。その結果、現在の制限より一桁ほど改善できることがわかった。又、この場合、標準的なCP非保存位相と新物理によるものが2種類存在するが、標準的混合角θ(13)と新物理のパラメーターがある程度大きければ、別々に測定が可能であることを示した。2.大気ニュートリノに対して同様な新物理の効果を考え、特に高エネルギーニュートリノのデータからの制限により、ミューニュートリノの成分が小さくなる必要があることを解析的に示した。さらに、新物理のパラメーターが比較的大きくてもθ(13)≠0ならばθ(23)=45゜となる解が存在し、大気ニュートリノのあらゆるエネルギー領域で実験と矛盾しない可能性があることを見出した。これは現象論的なものではあるが、将来の長基線実験で検証できる、興味深い可能性を与える。3.木村-高村-横枕によるニュートリノ振動確率の厳密公式を、高いニュートリノエネルギー領域で吸収の効果が顕著となる場合に拡張した。この結果は従来知られていたNaumovによる結果の一般化となっている。その結果を適用し、ステライルニュートリノ振動が存在する場合に、天体起源の高エネルギー宇宙ニュートリノが地球を貫通する様子から、どれだけステライルニュートリノ混合に制限をつけられるかを考察した。残念ながら結果は現在の制限を越えるほどではないことがわかった。
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