2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540274
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
安田 修 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (50183116)
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Keywords | ニュートリノ振動 / フレーバー混合 / ニュートリノ質量 / 長基線ニュートリノ実験 / CP非保存 |
Research Abstract |
1.2010年6月のNeutrino2010の会議で,MINOS実験のニュートリノと反ニュートリノのデータが、標準的な枠組みでは2σで矛盾するという報告があった。大気ニュートリノと太陽ニュートリノ観測の結果と矛盾なくこの事象を説明するには、ニュートリノに非標準的物質効果の電子成分をτ成分を導入するという可能性と、ステライルニュートリノを加える可能性が考えられる。そこで、それぞれの可能性について、数値計算による詳細な検討を行った。前者に関しては、得られた最善のフィットが、標準的なシナリオの場合と比べて0.07σしか改善せず、しかもその最善のフィットを与えるパラメーターは大気ニーュートリノのデータから好ましくない領域にあり、MINOSのデータを説明するには至らないことがわかった。一方、後者に関しては、いわゆる(3+1)-スキームの範囲内で、大気ニュートリノ振動で最大の質量二乗差Δm^2_<41>の寄与の度合いを表す角度θ_24を0とおき、Δm^2_<41>を1eV^2に固定してその他のパラメーターに関してフィットした所、標準的な三世代の場合が最善となることがわかった。これは少し前に行われたNelsonたちの結果を正すものである。2.現在のT2K長基線ニュートリノ実験の拡張構想であるT2KK計画で、どの程度までステライルニュートリノ振動のパラメーターに感度があるかを、(3+1)-スキームの枠内で研究した。現在も解析中であるが、これまでの結果によると、近距離測定器がない場合には、T2KKは従来の制限をやや改善する程度の感度を持つことがわかった。
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