2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540286
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
金子 敏明 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 教授 (40177522)
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Keywords | QCD / ループ積分 / 超幾何関数 / 次元正規化法 |
Research Abstract |
前年度までの研究により1ループ積分のうち、2点および3点関数は質量が0であるか否かに関わらず、多変数超幾何関数のクラスであるAppellのF1および、その拡張版であるLauricellaのFDによってあらわせることが判明した。4点関数の場合は、特別の場合を除いて、FDにより厳密に表すことはできないが、4次元時空の周りでのLaurent展開を行えば、赤外発散部および有限部までがFDを用いて表すことができた。通常、これらの展開係数は対数関数および多重対数関数により表されるが、超幾何関数の恒等式および展開式からも得られる。一方多重対数関数による表現によれば数値計算が可能となるが、数値的不安定性を招く場合があることも判明した。 今年度の研究により、4点関数は一般に、Aomoto-Gelfand型の拡張多変数超幾何関数の特殊な場合として表現されることが判明した。これらの関数は、LauricellaのFDを拡張したものであり、4次元時空の周りの展開により有限部分までを考えるならFD、さらに対数関数および多重対数関数により表される。一方、これら超幾何関数の特異的性格が表れるパラメターの組み合わせの情報から、数値的不安定性がもたらされる条件が得られ、超幾何関数の恒等式を使い分けることにより、より数値的安定な計算方法が得られる。 これらの研究成果を、国際会議ACAT 2011で発表した。また、前年度得られたsector decompositionの効率的アルゴリズムを得る幾何学的方法については、論文が学術雑誌に掲載された。
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Research Products
(5 results)