2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540319
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新井 敏一 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教 (80333318)
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Keywords | グラフェン / グラフェンナノリボン / エッジ状態 / ラマン分光 / Dバンド |
Research Abstract |
本研究は、なめらかなエッジ構造をもつグラフェンナノリボン(GNR)試料を作成し、エッジの原子構造や試料のサイズがGNRの電子物性にどのように影響するかを調べることを目的とする。 GNR試料はX.Liたちの方法(Science 319, 1229 (2008))にならい作成した。膨張黒鉛を急熱によって劈開し、リボン状の試料をPmPVとよばれるポリマーのジクロロエタン溶液で抽出した。この試料をアドレスマーク入りシリコン基板上に貼り付けた。作成したGNR試料の原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。試料の幅は約100nm、高さは1nm、長さは約30μmであり、まっすぐに伸びている。長さや幅の異なる試料を複数作成し、ラマン分光分析を行った。ラマンスペクトルを測定した試料のうち約半数はDバンドのピークが観測されなかった。GNRのラマンスペクトルで、Dバンドピークが出ていないものこれまでに報告例がない。Dバンドは2重共鳴によるピークで、炭素結晶構造の乱れに起因する。エッジも結晶の乱れとなり得るが、ジグザグエッジにおける散乱はDバンドの共鳴に寄与しないことが分かっている。Dバンドが現れないということは、試料のエッジがジグザグ構造であることを示している。以上より、我々の試料の約半数はジグザグエッジをもつGNRであると結論される。当初の研究実施計画ではGNR試料の電子輸送特性を測定することになっていたが、作成したコンタクト電極の接触抵抗が大きすぎて計画通りには進まなかった。コンタクト電極を必要としないラマン分光測定を実施して得られた大きな成果である。
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Research Products
(4 results)