2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン液体から生まれる新奇な磁気秩序の理論的研究
Project/Area Number |
21540379
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
飛田 和男 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20133704)
|
Keywords | ダイヤモンド鎖 / 量子化フェリ磁性 / 部分フェリ磁性 / ハルデン状態 / 混合スピン鎖 / 量子臨界現象 / フラストレーション / 強磁性ラダー |
Research Abstract |
当初計画に加え、埼玉大学における新物質の合成を機にその解析に重点をおいた。また、高スピン1次元量子反強磁性体に関連してスピン1-1/2混合スピンダイヤモンド鎖の研究を行った。 1.スピン1-1/2混合スピンダイヤモンド鎖ハイゼンベルグモデルに対し、種々のひずみを導入した場合に現れる基底状態の多様な相について理論的に研究した。 a)一様ひずみを導入した場合、基底状態はハルデン状態またはフェリ磁性状態となるが、特に、フェリ磁性状態にはその自発磁化が飽和磁化の1/p(p=2,3,4)に量子化される量子化フェリ磁性状態に加え、系のパラメータとともに磁化が連続的に変化する部分フェリ磁性状態が実現する領域があることが分かった。この状態についての低エネルギー有効理論を構築した。 b)スタッガードひずみを導入した場合、基底状態は通常のハルデン状態に加え自発的にp重に並進対称性の破れた種々のハルデン状態が実現することが分かった(p=2,3,4)。また、これら各相の低エネルギー有効理論を構築した。さらに、これらの相の間の量子相転移の臨界的振る舞いを調べ、p-クロック模型と同じ臨界現象を示すことを明らかにした。 2.フラストレーションリアルスピン1/2の強磁性ラダー物質Chlorido-Bridged Dinuclear Copper(II)Complexes with 2-Methylisothiazo1-3(2H)-oneについて数値対角化および修正スピン波近似により帯磁率の温度依存性を調べ、交換相互作用の評価を行った。 3.ランダム桁梯子モデルについては、まずは対応する周期系の性質を押さえることが重要であること明らかになった。次年度も続けてこの方向で研究を進める。
|