2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン液体から生まれる新奇な磁気秩序の理論的研究
Project/Area Number |
21540379
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
飛田 和男 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20133704)
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Keywords | ハイゼンベルグモデル / 混合スピンダイヤモンド鎖 / 異方性 / スピンクラスタ状態 / フラストレート強磁性ラダー / 修正スピン波近似 / 桁交替ラダー / ±Jイジングラダー,チューブ |
Research Abstract |
1.スピン1-1/2混合スピンダイヤモンド鎖ハイゼンベルグ模型に対し、異方性を導入した場合に現れる基底状態の多様な相について理論的に研究した。また、有限温度の振る舞いについても調べた。 a)等方的な場合の基底状態がスピンクラスタ状態の直積で書ける領域では、少しでも容易面異方性があれば非磁性基底状態となることがわかった。 b)有限温度における縦・横帯磁率や比熱、エントロピーをクラスタ状態を使って書き下し、温度依存性を明らかにした。また、それらの物理的解釈を与えた。 2.フラストレーションのあるスピン1/2の強磁性ラダー模型について、実験的に実現しているよりさらに広い範囲で修正スピン波近似と数値対角化法により帯磁率やスピン相関関数の温度依存性を調べ、修正スピン波近似の適用可能性の評価を行った。この結果、強磁性相と非磁性相の境界上での物理量の振る舞いも、修正スピン波近似である程度理解できることを示した。さらに、現在このモデルの非磁性領域での基底状態相図を密度行列繰り込み群や数値対角化により調べつつある。 3,桁交替ラダー模型についても、密度行列繰り込み群や数値対角化により基底状態相図を明らかにしつつある。 4.関連した古典系として、多脚±Jイジングラダー模型や±Jイジングチューブ模型について転送行列法を用いて調べ、チューブの場合には脚の本数の偶奇により、基底状態、励起エネルギーや低温での振る舞いが交替的に変化することがすることが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前項に記述したように、多様なモデルについて、数値的・解析的手法を組み合わせて、量子スピン液体状態から生まれる秩序状態だけではなく、有限温度における振る舞いにそれらがどのように反映されるか、また、実験物質が実現した場合のこれらの現象の観測可能性についても議論した。また、これにとどまらず、関連した古典系についても研究を進め、成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)強磁性フラストレートラダー、強磁性・反強磁性桁交替ラダー系については、いずれも基底状態相図の大略は完成しているが、未知の非磁性相の特徴付けに困難がある。この相を特徴付ける秩序パラメータを見つけることが重要と考えている。 2)計算の効率を向上させるため、今年度導入したIntel Sandy Bridge E CPUに続き、来年度発売予定の最新のIntel Ivy Bridge CPUを持つ計算サーバの導入を考えている。
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