2009 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムな曲線やパターンの集団に対する統計力学の構築とその応用
Project/Area Number |
21540397
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
香取 眞理 Chuo University, 理工学部, 教授 (60202016)
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Keywords | Dyson模型 / 非衝突ブラウン運動 / 行列式点過程 / 行列式過程 / 時空相関関数 / 整関数 / 量子ウォーク模型 / 相対論的量子力学 |
Research Abstract |
1. すべての2粒子間に粒子間距離に反比例した斥力が働く1次元ブラウン粒子系をDyson模型とよぶ.我々はこれを時空平面上での非衝突経路の統計集団として理解したい.粒子の各時刻ごとの空間配置は行列式点過程とよばれる統計性を持つことが知られており,行列式点過程の一般論はSoshnikovや白井・高橋によって与えられている.我々はこれを時空上に拡張した行列式過程に興味がある.これに関しては未だ一般論はないが,Dyson模型はその良い例になっていることを時空相関関数を顕に計算することによって示した.時空相関関数は相関核とよばれる時空2点の連続関数を成分とする行列の行列式で一般に表される.我々は,この行列式過程の構造を保持したまま,粒子数無限大のDyson模型を構成することに成功した.上述のようにこの模型は長距離相互作用を持っ系であるので,通常の短距離相互作用系に対する統計力学の理論は適用できない.通常の統計力学では,2次相転移が起こる臨界点以外では粒子数無限大極限に相当する熱力学極限を境界条件に依らずに一意的に決定できるが,Dyson模型では無限粒子極限のとり方によって異なる無限粒子系が得られる.相関核は整関数の複素平面上での二重積分で表せる.整関数は一般に複素平面上での零点分布や漸近的性質で分類できる.我々はこの整関数の分類理論を応用してDyson模型の無限粒子極限の分類をすることに成功した. 2. 格子上の量子ウォーク模型と運動量空間において紫外切断を入れた相対論的量子力学方程式との対応を研究して,擬速度が相対論的速度に相当し,それが光速度を超えることがないという因果律が,量子ウォーク模型の擬速度のモーメントの長時間極限分布の形を決めていることを明らかにした.
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Research Products
(8 results)