2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540433
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小林 直樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30272660)
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Keywords | モード計算 / 地震波 / 東西風 / 音波 / カップリング |
Research Abstract |
近年,大地震に伴って発生した地震音波を観測したという報告がなされている.そうした地震音波は大気中を伝搬するが,大気中の風の影響を受けて観測点への到着に遅延が生じたり波形が歪んだりする.この影響を調べるのが本研究課題の目的である.22年度はこの目的のため計算上必要となる励起係数の定式化の改善をおこなった.境界が自由境界条件の場合,運動エネルギー積分と呼ばれる密度と変位固有関数から計算される積分量に各モードの励起係数は反比例する.しかし上端が放射境界条件の大気を含む系では自由境界条件が成立しないためその影響を考慮した励起係数が必要となる.得られた励起係数が妥当であることを示すために,二つの性質の異なる媒体からなる半無限円筒内の音波について放射境界条件に適合した励起係数を用いてモードの重ね合わせをおこない波形を計算した.この場合,エネルギーの放射があるため固有周波数,固有関数とも複素数となる.したがって個々のモードは減衰波となるが,重ね合わせた結果は不連続面での透過,反射波を良く表し,内側の音速の高い領域,外側の音速の遅い領域とも伝播に伴う減衰は見られず,正しく波動場を表現できていることが確認された.この結果は日本地震学会秋季大会,アメリカ地球物理学会(AGU)のFall meetingで報告した.長年の懸案であった放射境界条件の場合のモードの励起係数の定式化が得られたので,波形計算のプログラムに結果を組み込み,いよいよ実際的な波形計算に取り組む段階にきた.
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