2010 Fiscal Year Annual Research Report
小惑星のサイズ分布観測と衝突進化計算による後期重爆撃期仮説の検証
Project/Area Number |
21540441
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 孝士 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (40280565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
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Keywords | 小惑星 / クレーター / 天体力学 / 衝突 / シミュレーション |
Research Abstract |
太陽系の歴史は衝突の歴史である。星間分子雲中の塵などから今日の惑星が形成される過程の中で、夥しい数の衝突現象が太陽系の進化に極めて重要な役割を果たして来た。一般に地球型惑星は約46-45億年前の太陽系初期の段階で形成したと思われているが、その後数億年を経て再び地球型惑星や月の表面に激しい天体の衝突が発生し、表面状態をリセットしたとする説がある。この突発的な隕石爆撃の時期は約40億年前に始まって約38億年前に終わったとされ、「後期重爆撃期」と名付けられている。本研究ではこの後期重爆撃期の原因およびその発生に重要な役割を果たした可能性が高い小天体の力学過程を明らかにする。平成22年度は主として小天体の衝突進化過程を検証するための数値実験、とりわけ小惑星のサイズ分布の時間進化を検証する精密な数値実験を開始した。かつての研究に於いて小天体間の相互重力による運動の効果を大幅な近似無しで取り扱った計算は皆無に等しい。私達は小惑星の重力相互作用を表す運動方程式を近似なしに正面から解き、衝突破壊・合体の様子を正確に計算することで、粒子塊のサイズ分布進化を詳しく検証しつつある。初期のサイズ分布にはクレーターサイズから推定される後期重爆撃期の衝突天体のものを用い、そのサイズ分布が衝突進化を経てどのように変化するのかを現在の太陽系小天体のサイズ分布との比較で検分しようとしている。また、小天体が衛星と衝突した場合に形成されるクレーターの不均質性についても検証を行っている。
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