2009 Fiscal Year Annual Research Report
島弧地殻における変形と応力蓄積過程のモデル化―内陸地震発生過程解明に向けて―
Project/Area Number |
21540443
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
芝崎 文一郎 Building Research Institute, 国際地震工学センター, 上席研究員 (20344012)
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Keywords | 固体地球物理学 / モデル化 / 内陸地震 / 島弧地殻 / 応力蓄積 |
Research Abstract |
東北日本脊梁山脈周辺の、横手盆地東縁断層帯及び北上低地西縁断層帯を想定し、非線形有限要素法による三次元の変形と断層形成過程のモデル化を行った。本モデルでは、地殻深部においては非線形粘弾性を考慮し、地震発生域ではモールクーロンの基準に従う塑性流動を考慮する。地温勾配の情報かち温度構造を推定するが、地震の下限を説明できるように流動則のパラメターの調整を行った。観測事実に基づき、奥羽脊梁山脈、出羽山地沿いで地温勾配を高く設定し、第四紀火山を考慮して、地温勾配が局所的に高い円形の領域を設定した。シミュレーションの結果、奥羽脊梁山脈を挟んで二つの塑性歪み集中域(逆断層帯)の形成が確認できた。この断層は地殻深部の非線形流動による短縮変形により形成される。火山地帯では、断層は火山の近傍に形成されているが、非火山地帯では、奥羽脊梁山脈の中心からやや離れたところに形成されることが確認できた。また、岩手・宮城内陸地震の断層に対応する逆断層の形成も確認できた。次に、地震サイクル間における応力集中過程のモデル化も行い、脆性-延性遷移領域の深さが変化する場所で応力が集中することが確認できた。さらに、GPS観測により得られた観測結果と調和的な歪み集中帯の分布が得られた。本研究により、東北日本脊梁山脈周辺の3次元応力蓄積過程が初めてモデル化され、この地域における内陸大地震の発生過程が熱構造や火山の分布に支配されていることが示された。
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Research Products
(5 results)