2011 Fiscal Year Annual Research Report
島弧地殻における変形と応力蓄積過程のモデル化-内陸地震発生過程解明に向けて-
Project/Area Number |
21540443
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
芝崎 文一郎 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (20344012)
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Keywords | 固体地球物理学 / モデル化 / 内陸地震 / 島弧地殻 / 応力蓄積 |
Research Abstract |
本年度は、東北日本脊梁山脈周辺における3次元的な断層形成と応力蓄積過程のシミュレーションモデルの改善を行った。本シミュレーションでは、有限要素法により、非線形粘弾性媒質を仮定し、地温勾配の観測情報に基づき温度構造を考慮してべき乗型流動則のパラメター分布を設定し、短縮変形を与えて断層形成と絶対応力場を再現する。そしてシミュレーションで得られた脆性-塑性遷移領域と地震活動の下限がなるべく一致するように温度分布を修正する。シミュレーションから、ホットフィンガー(マントルウェッジ内の指状の高温領域)に対応している領域では脆性-塑性遷移領域が浅く、フィンガー間の領域では脆性-塑性遷移領域が深くなる様子が再現できた。また、地殻深部ではフィンガーの間の領域で絶対応力が高くなっていること、内陸大地震の多くは絶対応力が高い場所で発生していることが示された。 2011年3月に東北地方太平洋沖地震(M9.0)が発生した。この地震により、東北日本では東西方向に大きく伸張した。本研究では、東北地方太平洋沖地震の効果を考慮して、伸張変形を与えた場合の地殻の応答のモデル化を行った。その結果、伸張変形を与えた場合には、均質媒質と比べると、地殻構造等の影響により前弧よりも背弧側の方が伸張しやすいことが示された。また、スプリットノード法を用いて沈み込みプレート境界における地震時すべりを与えることで粘弾性緩和過程を再現する試験的なモデル化を行った。今後、このモデルを用いて、現実的な地殻構造を考慮した余効変動のシミュレーションを行う必要がある。
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Research Products
(3 results)