2011 Fiscal Year Annual Research Report
微細格子雲解像モデルを用いた温帯低気圧に伴う降雨帯の研究
Project/Area Number |
21540446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川島 正行 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (10281833)
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Keywords | 気象学 / 雲解像モデル |
Research Abstract |
雲解像モデルの高解像度化・改良を行い、温帯低気圧の前線に伴う降水を表現する微細格子雲解面モデルを作成した。モデルの水平格子間隔は数百m程度、鉛直格子間隔は数十m程度とした。これにより、層状雲中の対流雲形成など、降雨帯の形成に重要と考えられる過程が表現できるようになった。また、鉛直解像度を上げたことにより、過去の前線の数値実験において報告されている水平・鉛直解像度の不整合により生ずる物理的に意味のない重力波の前線面での発生も抑制された。 3次元化したモデルを用いて、水平シア不安定により生ずる寒冷前線降雨帯の降水コア形成の数値実験を行った。この実験により、環境風の鉛直シアが弱くなると寒気先端における局所的な鉛直シアが強まり、水平シア不安定波の発達を抑制すること、結果としてある水平シア強度以下では不安定波の発達が完全に抑制されることを明らかにした。前線や密度流の先端など顕著な水平シアのある場であっても、必ずしも不安定波や渦が生じるとは限らないが、この結果はその理由を説明するものである。また、局所的鉛直シアのもつ抑制効果は波長の長い不安定波に対してより強く働き、結果として、単純なシア不安定と異なり成長率が最大となる波長が顕著なシア強度依存性を持つことも示した。さらに、現実的な設定の温帯低気圧の数値実験により、低気圧暖域の降雨帯、上空の寒冷前線に伴う幅の広い降雨帯など各種降雨帯の成因について調べた。その結果、暖域の降雨帯は寒冷前線先端での強制的な持ち上げに起因する成層の不安定化により生じ、その形状は寒冷前線の形状を強く反映すること、上空の寒冷前線に伴う幅の広い降雨帯の形成には氷相の降水粒子の融解に伴う冷却が重要であり、氷相を考慮しない実験では明瞭な降雨帯が生じなくなることなどを示した。
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Research Products
(2 results)