2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21540456
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
猪上 華子 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 研究官 (20442741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 専人 独立行政法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究センター, 総括主任研究員 (20360365)
津口 裕茂 気象庁気象研究所, 予報研究部, 研究官 (90553165)
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Keywords | 集中豪雨 / 豪雪 / 雲解像数値モデル / 気象レーダー |
Research Abstract |
解析データを用いて、大雨の要因となる500m高度での高相当温位・水蒸気フラックス量の出現傾向を統計的に調べた。水蒸気フラックス量は季節によらず250 g m^<-2> s^<-1>以上を目安にするのが妥当である一方、相当温位は暖候期の西日本では355Kを基準とすべきだが、季節や地域差があることがわかった。解析雨量データから客観的に抽出した豪雨事例の統計解析から、その発生環境場として台風・熱帯低気圧、停滞前線の順に多いこと、降水系の形状として線状のものがもっとも多いことがわかった。暖候期に発生した大雨299事例を対象に高渦位流入の大雨発生に対する寄与について統計的に調べ、不安定事例の約半数が高渦位流入の影響を受けていたことがわかった。2011年7月新潟・福島豪雨では、大規模場の上昇流にともなう断熱冷却による中層の低温化と下層の暖湿流が主要因であり、上層のメソスケール高渦位域の流入も影響していたことがわかった。 日本海側の大雪期間の降雪予報では、境界層スキームによってあられ形成の効率が異なり、それが降雪量の差になることがわかった。数値モデルを用いて2010年10月20日に奄美大島で発生した集中豪雨の発生要因を調べた結果、奄美大島のはるか北東を起源とする北東風が気団変質を受け、暖湿な気塊を供給していたことが主要因であることがわかった。 観測データを用いて、豪雪期間のレーダー降水強度と大気状態を比較したところ、海上の降水強度は大気が不安定なほど強くなりやすいが、陸上降水は地上、500hPaともに低温の時に強くなりやすいという差が表れた。降雪系分類と大気状態との対応付けでは、Tモードは地上気温が低く可降水量の少ないときに、沖合で強化されるLモードはその逆の時に出現する傾向が見られるなど、降雪系の種類による差異が明確に現れ、それは海上と陸上の平均のレーダー反射強度差にも反映していた。
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Research Products
(20 results)