2010 Fiscal Year Annual Research Report
急激な気候変動に対する海底扇状地の発達と二酸化炭素固定能力の応答の評価
Project/Area Number |
21540488
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 健 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究員 (20357627)
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Keywords | 気候変動 / 地球温暖化 / 海底扇状地 / タービダイト / 有機炭素 / 西南日本 |
Research Abstract |
南海トラフの四国海盆で実施されたIODP第322次研究航海のSite CQQ11およびCQQ12において掘削された.紀伊半島沖四国海盆の20-5Maにわたる地層試料の砂粒鉱物組成分析,花粉化石分析,有機炭素分析,火山灰分析およびFT年代測定を行い.堆積物の後背地と推定される西南日本の発達史と気候変動史の解明を試みた. Site CQQ11およびCQQ12の下部のUnit Vとされていた地層のFT年代は、前者が約15Ma、後者が13.2Maを示すことと音波探査層序の見直しにより、CQQ12にはUnit Vが分布しないことが明らかになり、層序と対比の改訂を行った。また,Unit IVのタービダイト砂岩の鉱物組成分析の結果,これらの砂岩の起源が熊野酸性岩に由来することが示唆され,15Ma頃の紀伊半島の隆起を反映している可能性がある.Unit IIの上部の凝灰質砂岩の鉱物組成は,特徴的な鉱物組み合わせを示し,後期中新世の伊豆背弧での酸性火山活動との関連などいくつかの可能性が考えられる.Site CQQ12のUnit IからUnit Vの主として半遠洋性泥岩の花粉化石分析の結果,下位からI-IVの四つの花粉化右帯に区分された.Unit VIIIに相当する中期中新世から後期中新世初期のI-III帯では暖温帯性の古植生が推定される.UnitIおよびIIに相当するIV帯ではツガ属の産出が増加し,後期中新世の気候の冷温化が推定される.花粉化石群集には全体に熱帯-亜熱帯性の分類群は含まれず,西南日本の主に低地-低山地起源と考えて矛盾はないが,日本の陸城や坑井の試料に較べて花粉化石量が一桁以上少ない特徴を持つ.これらの花粉化石群集の特徴は,堆積時の掘削地点の古地理や西南日本の古気候を考える上で重要な資料となりうる.
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Research Products
(2 results)