2010 Fiscal Year Annual Research Report
生成分子の空間分布による分解活性亜酸化窒素の直接同定
Project/Area Number |
21550004
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松島 龍夫 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 研究員 (30002116)
|
Keywords | 亜酸化窒素 / パラジム / NOx処理 / 私応経路 / ステップ表面 / 脱離の角度分布 / 窒素の脱離 / 表面窒素の除去 |
Research Abstract |
ステップ表面Pd(112)=[(s)3(111)×(001)]上でN_2O分解から放出される窒素分子の空間分布を、NO+CO、NO+D_2、N_2O+D_2の定常反応と昇温脱離条件下で検討し、中間体N_2O経由の窒素生成経路への共存水素の効果を解明できた。NOの定常還元は450K以上で進行し、NO分解過程が律速である。表面窒素の除去は4つの経路で進むが、角度分解測定は各反応経路の分離を可能とした。窒素への2つ経路間の切り替えには水素、COが影響した。定常的N_2O還元は観測できない。STM、NEXAFS観測の準備を整えた。 1.NO+D_2存在下の昇温;490Kのピークと580K以上に窒素が脱離、前者のcos^<20-30>(θ-30)(θ:極角)、後者のcos^2(θ-5)の分布から前者をN(a)+NO(a)→N_2O(a)→N_2(g)、他をN(a)+N(a)→N_2(g)と帰属した。 2.NO+D_2の定常反応;420K以上で観測、脱離窒素の分布はcos^<20-30>(θ-30)とcos^2(θ-5)の2成分からなる。前者は480K以下で主成分、485K以上では後者が主成分である。この切り替えは水素を増すと急激に進行するが、アンモニア生成を伴い、窒素への選択性は減少する。 3.NO+COの定常反応;温度域450K-800Kで窒素の放出はcos^<20-30>(θ-30)とcos^2(θ-5)分布の2成分からなる。温度上昇と共に後者の寄与が相対的に増加した。CO_2の脱離はcos^8(θ-10)の分布を示した。この結果は前年度の昇温脱離の結果と異なる。 4.遷移状態;N_2O分解から放出されるN_2はN_2O分子軸に沿う面内に鋭く分布することをDFT計算で確認。親分子の軸に沿う反発力とN-O結合の切断直後に生じるN_2の分子運動の動力学的検討が進展した。
|