2011 Fiscal Year Annual Research Report
高精度多参照理論による大規模π共役系の強相関的な多電子励起状態の解析法と応用
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21550027
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
柳井 毅 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (00462200)
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Keywords | 理論化学 / 量子化学 / 電子相関 / 計算化学 / π共役 |
Research Abstract |
「電子と電子との複雑な多体相互作用の複雑な量子効果」を根源とする化学現象や化学反応をターゲットに、その高精度な分子モデリングを可能とするような量子化学的な手法開発を目指した. 密度行列繰り込み群を出発して動的電子相関を二次の摂動論から効率よく見積もるDMRG-CASPT2(Complete Active Space Second-order Perturbation Theory)法を開発した。CASPT2法は、オリジナルにはRoosらによって開発されてきたが、従来法では適用可能な活性化軌道のサイズに限界があったが、本手法はその適用サイズを飛躍的に広げた。DMRG-CASPT2法を用いて、Cr2の解離ポテンシャルの計算に応用し、高精度に実験から見積もられたポンテシャル曲線を再現した。 F12相関因子を用いた正準トランスコリレート理論を導出し分子系に応用した。量子化学の電子相関計算において、価電子の動的相関は定量的な記述において重要である。一般的には、摂動論、配置間相互作用法、結合クラスター法が用いられるが、これらの計算法の精度は、共通して、計算の基盤となる基底関数のクオリティーに高く依存し、また、基底関数の数に対する基底関数誤差の収束は遅いことが知られている。(解析的にはL-3で収束。Lは基底関数の最高次角運度量の量子数。)F12相関理論は、動的相関の電子カスプを対関数をもちいて解析的にレギュレートする手法として成功しており、近年盛んに研究が進めれれている。本研究は、このF12理論の相関因子をハミルトニアンに事前に繰り込み、相関したハミルトニアンを構築する理論を開発した。
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Research Products
(8 results)