2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550028
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
村上 美和 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, NIMSポスドク研究員 (60455269)
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Keywords | ナノ材料 / 核磁気共鳴(NMR) / 固体NMR / 四極子核 / 相関NMR |
Research Abstract |
多次元固体NMR法を新規な機能性材料開発に役立つ評価技術とするために、その要素技術である四極子相互作用の存在下での核スピン間の磁化移動法を検討した。 1)分解能が高い21.8Tの強磁場NMR装置(現有)で^<14>N-^<11>Bの二重共鳴測定が可能なプローブを作製し、磁化移動法のひとつである交差分極法(CP法)の適用を検討した。^<14>N-^<11>B間のCP条件を検討後メソポーラスな炭窒化ホウ素の^<14>N-^<11>B二次元相関スペクトルを測定し、^<11>B magic-angie spinning(MAS)NMRで観測された3種類のホウ素のうちひとつが窒素と結合していることを示した。 2)四極子相互作用が大きい場合のCPの問題としてCPによる感度向上が小さいことが分かった。これは照射しているラジオ波強度が四極子よりも小さいためにスペクトル全体を励起できないためであると考えた。そこで、これらの問題点を克服するためにCPの間に照射磁場を掃引する手法を考案し、重水素化グリシンを用いて^1H-^2Hの系で評価を行い、有効性を確認した。 3)^<11>B-^<11>B相関NMRを多孔性ガラスの製造過程であるホウケイ酸ガラスの相分離過程の研究に適用し、相分離過程におけるborate構造の生成の可能性を示した。さらに、ホウケイ酸ガラスの相分離が抑制されることが知られているアルミナの添加効果を解析することを目的として、^<11>B-^<27>Al間のCP法の適用を考えた。^<11>Bと^<27>Alは周波数が近く、二重共鳴実験には装置上の工夫が必要となる。適切なRFフィルタの作製や高周波数回路の調整を行うことにより^<11>B-^<27>Al間のCP測定を可能にした。これらの研究成果は無機非晶質固体の局所構造の解析における多次元NMRの有効性を示すとともに、四極子核のNMRの基礎研究としても新しい可能性を示すものである。
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