2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21550032
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
生沼 みどり 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20323256)
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Keywords | 金属内包フラーレン / Diels-Alder反応 / 可逆付加反応 / 化学修飾 |
Research Abstract |
本研究では、金属内包フラーレンの新規化学修飾法を開発し、分子変換による機能の発現を目指している。機能性フラーレンの分子デザインには、化学修飾反応の付加位置をコントロールする必要がある。そこで金属内包フラーレンの可逆反応に着目した。この可逆反応を利用してフラーレンの活性部位を保護することで置換基導入の付加位置を制御し、新たな金属内包フラーレン誘導体の創製を行うことを目的としている。 これまでの研究で、メチルシクロペンタジエン(Cp*)を用いたDiels-Alder可逆付加反応が、La@C_<82>への官能基修飾反応の保護・脱保護として有用な系であることを見いだしており、通常のカルベン付加反応と同様、Cp*はLa金属に近いケージ炭素に付加することが分かってきた。そこで、Cp*環化付加生成物ヘカルベン付加反応をさせることで、嵩高い保護基の立体的効果によりLa金属とは離れた方の炭素ケージへ置換基を導入することを目指した。その結果、Cp*環化生成物へのカルベン(アダマンチル:Ad)付加反応は位置選択的に反応し、La@C_<82>のCp*・Ad二付加体を得た。また逆の経路による、La@C_<82>のカルベン(Ad)付加体からCp*環化付加反応を行ったところ、やはり位置選択的に高収率で付加反応が進行した。液体クロマトグラフや電子共鳴スペクトルなどの解析により、いずれの経路においても、同一の二付加体を生成することが明らかとなった。導入された置換基はいずれもLa金属に近い方の炭素ケージへの付加であったが、本研究は金属内包フラーレンへ異なる官能基を高収率、高選択的に導入することに成功したものであり、この結果は種々の官能基を有する金属内包フラーレン多付加体の分子設計を可能にするものと思われる。
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