2010 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子ナノ結晶の表面配位不飽和サイトを活用した界面イオン伝導の探索
Project/Area Number |
21550055
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
栗原 正人 山形大学, 理学部, 准教授 (50292826)
|
Keywords | 配位高分子 / ナノ結晶 / 固体イオン伝導 / 配位空間 / プルシアンブルー / 表面修飾 / ゼータ電位 / 界面 |
Research Abstract |
固体イオン伝導は、ゼオライトなどの結晶空孔、ナフィオンなどの高分子柔軟空間、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)などの格子欠陥を介した3つの伝導経路を中心に研究が展開されている。本研究では固体でありながらその大きな結晶表面を特徴とするナノ結晶に着目した。ナノ結晶が集合(圧着あるいは規則配列)した薄膜を固体材料として取り扱い、ナノ結晶間(界面)で構築される通路を目的イオンが次々と伝搬していく、新しいタイプのイオン伝導、"ナノ界面イオン伝導"の探索・構築をその主たる研究目的とした。連続した配位結合(金属イオンと配位子の多次元ネットワーク)で構成される配位高分子ナノ結晶、プルシアンブルー(PB)はシアノイオンと鉄イオンで構成され、10nm以下のナノ結晶であれば、結晶表面に露出した配位不飽和サイト(=内部の連続した配位結合が切断されているサイト)の数は、全体の15%以上に及ぶ。本研究では、昨年度に引き続き、PBの表面配位不飽和サイトに、フェロシアン酸イオンを導入した表面電荷型PBナノ結晶を作製した。そのナノ結晶固体圧着膜の表面に金ペーストで電極形成、金線を介して交流インピーダンス測定によりそのイオン伝導性を評価した。特に、フェロシアン酸イオンの対イオンとしてアンモニウムイオンに着目し、その導入量を系統的に変化させ、固体圧着膜のプロトン伝導に与える効果について評価した。15モル%アンモニウムイオンを導入した場合、イオン伝導度は最大で8×10^<-5>Scm^<-1>に達した。また、環境相対湿度の上昇に従いそのイオン伝導も増大する結果が得られたことから、プロトン伝導が大きく寄与していると考えられる。
|